第25話 めんどくさいことは重なるものです
「あー……めんどくさ……何でこんな事になったんだろうね?」
NEO麗との決闘が決まった翌日、俺は机の上に身を投げ出すようにしてダラダラしながら愚痴を言った。
「仕方ないんじゃない? 麗衣ちゃんが決めた事だし」
俺の机の横で勝子は諦めた様に言った。
「勝子も気乗りしないんでしょ? 何とか方法ないかな?」
見た感じ勝子は麗衣にそっくりな顔をしている流麗に対しては悪い印象を持ってなさそうなので、今回の決定は気が進まなそうだ。
「正直に言えばね……縁もゆかりもない神子って子はとにかく、麗衣ちゃんの親戚の子と姫野先輩の妹が相手だからね。でも、私達は麗衣ちゃんの駒だから」
「私は戦ってみたいけれどね。あの神子さんって子と勝負したいし、以前、姫野先輩にはスパーで負けちゃったけれど、妹の火受美さんがどんなものか興味があるし、勝ちたいからね」
俺と勝子が厭戦気分の中、恵だけは今回の件に乗り気だった。
「アンタ……ギリギリAクラスに入れたばかりなのに元気よね。そんな元気があるなら、今日から勉強始めた方が良いんじゃない?」
俺と麗衣、勝子、恵の麗四人組は進学クラスであるAクラスに進級したのだ。
勝子は1年時の年間成績が学年2位で文句なくAクラス入りしたが、俺と恵はギリギリの成績だった。
俺は進学クラスの中では45人のクラスで37位ぐらいの成績で恵はほぼ最下位だ。
恵は2学期迄の成績では進学クラス入りは絶望的であったが、1年最後の期末テストで猛勉強して学年11位の成績を残し、ギリギリ滑り込んだ形だ。
因みに1年時の年間成績学年10位の麗衣は2年生初日から体育館への特攻の責任を取らされ停学2週間と、成績の良さと素行の悪さが比例しなかった。
「ところで、放課後ジムに行く前に麗衣の家に行くつもりだけど、二人は如何するの?」
「麗衣ちゃんの家に行きたいのはヤマヤマなんだけれど、今年から私、ボクシング界に復帰する予定だから、放課後ボクシング部に行くよ」
「おおっ! それは嬉しいね!」
勝子からその話は聞いていたが、授業開始2日目から動くとは勝子の本気っぷりが伝わって来た。
全日本アンダージュニア優勝の勝子がストーリートに埋もれてしまうのは勿体ないと思っていたので、これは朗報だ。
「なっ……何よ? 何でアンタがそんなに喜んでいる訳?」
勝子は俺の反応に困惑していた。
「水を差すようで悪いんだけれど、ボクシング部って部員が居なくて廃部になるって噂も聞いたけれど?」
「はあっ? 如何してっ! ボクシング部が廃部だなんて聞いていないわよ!」
勝子は凄い剣幕で恵に詰め寄った。
「そっ……そんな事私に言われても困るかなぁ……ボクシング部に足を運べば噂が本当か確認出来るんじゃないの?」
「そうね……アンタなんかに聞いても仕方ないわね」
「……何気に周佐さんって失礼よね」
そんな会話をしていると、教室の中に美少女……いや、女性ものの制服を着た美少女……の紛い物が入って来た。
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