第15話 そうだ、神殿に行こう。

 おだやかな夢の世界から、ゆっくりと浮上してゆくこの感じ。


 ひさしぶりだなぁ・・・?

 私ってここに来る前、碌に寝られないような生活をしてたのかな?


 そんなことをぼんやりと考えつつ、私はゆっくりと目を開く。

 私の視界に入ったのは、シーツの白でも柔らかな朝日でもなく――リアムの顔面どアップだった。


「・・・って、え?!ちょっとリアム?はなしてくださーい!!」


 とにかく、ここから脱出しなければならない。

 何故ならここは、リアムの腕の中だから。


「うぅ~~~」


 手足をバタつかせて何とか脱出を試みるも、リアムはビクともしない。


「はーなーしーてーくーだーさぁーい・・・」


「・・・ん。敬語」


「・・・あ。ごめん。・・・って、きこえてるならはなしてぇー!!」


「・・・」


「・・・ねてる、の?」


 ねぇ何?今の、寝言だったの?

 よく分からないけどさぁ、騎士ってこんなに爆睡してて良いものなの?

 駄目だよね?


「ねーえー!おーきーてー!・・・はなせってばー!」


 じたばたじたばた。


「・・・」


 じたばた・・・じた・・・ばた。


「はぁ、はぁ・・・」


 ダメだ。起きないしビクともしない。

 もういい。私の負け!


 仕方が無いので、私は禁断の二度寝を甘受した。


 リアムに抱き込まれるこの体勢にほっとしてしまう自分が、なんか悔しい。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「リアム!きょうはにいきたいの!」


「シンデンって・・・神殿のことか?教会じゃなくて、神殿?」


「うん」


 あの、が何を指すのかは分からないけれど、多分そう。


「・・・楽しい場所じゃないぞ?」


「そうなの?」


「ああ」


 二度寝から目が覚めたのは、お昼前。


 私はある人に会いに行こうと考えていた。


 もちろん、リアムのしかめっ面はスルーする。


 リアムは何故か執拗に教会を推してくるけど、態々”教会じゃなくて神殿”と念押ししてくる位だ。きっと神殿でなければならない理由があるのだろう。


 というか、教会と神殿の違いって何?

 どっちも同じようなイメージなんだけど・・・。


 リアムは嫌そうだったし、人気ないのかな?神殿って。

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