第11話 君の名は?って今更すぎる!!(後編)
「・・・どうして私を副団長と呼ぶんだ?ソフィアは騎士団員ではないだろう?!」
――パードゥン?
まさかの内容に、私はその場でひっくり返りたくなった。
誰かー、思いとどまった私を褒めて―!
「だって、なまえ、しらないです」
「・・・教えて、いなかったか?」
「・・・はい」
「・・・それは・・・すまない」
そう言いつつ、彼はどこかほっとしたような顔をしている。
王国騎士団副団長(26)。彼はたった今、人生史上最も間抜けなミスを犯していたということにようやく気付いた。
「では、遅くなったが自己紹介をしよう。
私はリアム。リアム・モルテだ。知っての通り、王国騎士団の副団長をしている」
「わかりました。りあむさん、ですね?」
「それと、私に敬語は不要だ。呼び方もリアムで良い」
「でも、りあむさ」
「リアムだ。分かったな?」
さん付けで呼ぼうとすると、間髪入れずに訂正されてしまった。
有無を言わせない、強い視線にたじろいでしまう。
う~。何か良く分かんないけど、負けた気がする~。
「わかりま・・・わかった。じゃありあむも、じぶんのこと”おれ”っていっていいよ?」
何度か言い直してるの、聞こえてたし。
「はぁ・・・気付いていたのか。・・・分かった。改めて宜しくな」
え?逆に気付いてないと思ってたの?!
「あははっ、うん!よろしく!!・・・じゅるるっ・・・う~~、おにく~!」
おっと、
ま、仕方が無いよね?
さっきから、お肉とタレの美味しそうな匂いが直撃してて、もう我慢の限界!
「ふっ、ははっ。・・・買うのはそれで良いのか?」
「うん!おにくー!」
「分かったよ。では、早く買って帰ろうか」
「うん!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「・・・もぐもぐもぐ・・・おいし・・・」
帰宅後、ソフィアは椅子の上――ではなく、椅子に座ったリアムの膝の上に拘束されていた。
勿論ソフィアは抵抗したが、結果はご覧の通りである。
そもそも、弱冠二歳児の幼女が成人男性に勝てるはずが無かった。
「りあむっりあむっ!このおにく、なに?」
「まさか、知らないのか?・・・食べた事ぐらい・・・」
驚きと共に
「しらないもん!ねーえー、なんのおにく?」
「・・・それは、カローバ鳥だ」
カローバ鳥?スゴーい!
日本にはって言うか、地球には存在しない鳥だよね?多分。
知っている様で知らない、未知の食材・・・流石異世界!
こんなの考えるなんて、リーチェ様は凄い神様だなー。
このお肉、見た目と食感は鶏なのに、味はまさかの牛!
鶏肉特有のぷりっとした歯応えと、牛肉の甘みが最高!
ニンニクっぽい風味のタレが良い感じに食欲をそそってくる!
あー、お米が欲しい!
もっといろんな食べ物を食べてみたいなー。
成長したら、和食も作りたい!
味噌汁とかなら簡単かな?
あ、でも調味料を何とかしないと。
カローバ鳥の味に舌鼓を打ちながらにこにこと将来の食生活を想像するソフィア。
リアムはそんな彼女を微笑ましそうに見つめていた。
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