第7話 「運命の出逢い」だと思った。
俺は女や子供が大嫌いだ。
その上女はキャーキャーと
子供は自らの欲望に忠実だし、何かあるとすぐに泣き喚く。
勿論、そのどちらでもある『幼い女』なんて、
だから、部下のバルドとカイに記憶喪失の子供と聞いた時、俺が嫌悪感に顔を歪めていたのはほぼ間違いない。
きっとその子供とやらも、脳みその足りない我が
だが、コイツは
俺の周りに現れる女子供とは、全く違った。
と言うのも、目が違うのだ。
奴等は知能の低さが滲み出た装飾過多なドレスを身に纏い、目には周囲に媚びへつらうような薄っぺらい笑みを浮かべているのが常だ。
しかし、目の前の子供はどういう事だ?
着ている服は平民と比べても見劣りするであろう簡素な白いワンピース。
表情は引き攣っているし、目には理知的な光が宿っている。
――面白い。
何より俺の目には、この国には珍しい黒目黒髪の幼女が大層神秘的に、美しく映っていた。
「私が引き取ろう」
それは紛れもなく自分の声。
無意識に出ていた言葉だが、悪くないと、そう思う。
この子供は他の奴等とどこかが違う。
彼女を引き取ることで、俺の中で何かが変わる気がする――否。
変われる気がするのだ。
俺は、未だにこちらに怯えた目を向ける彼女に向けて、楽しそうな笑みを浮かべた。
――あぁ。これからが楽しみだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「副団長、書類代わりに
「そうですね。あとはコイツがやっておくので」
「えっちょっとバルドさん?!」
「・・・お前ら、何を言っているんだ?」
謎の行動をとり始めた門番さんとバルドさんに、副団長さんは困惑しているようだった。
「え?だって副団長、今日はもう上がりますよね?だから引継ぎを・・・」
「・・・私は帰るつもりなどないが?まだ勤務時間中だ」
あー。なるほどね。
門番さんたちは気を遣ってくれているのか。私を待たせることが無いように。
良い人たちだなぁ。
気持ちは有り難いんだけど、ここは居心地が良いしもう少し騎士団の詰め所とやらを見学してみたいから却下。
うん。気持ちだけ受け取っておこう。
「もんばんさんたち、ありがとうございます。・・・でもわたし、ふくだんちょうさんのおしごとがおわるまでじゃまにならないようにきをつけます。だから・・・ここにいても・・・いいですか?」
そう微笑み、首を傾げる。
「「お嬢さん(嬢ちゃん)、この歳でもう魔王の片鱗が?!」」なんて絶叫が聴こえてきたのは、多分幻聴だろう。
う~ん。思っていたより私は疲れているのかも。
日も昇ってだいぶ暖かくなってきたし・・・「ふわぁ~」・・・おやすみ、なさい。
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