第6話 保護者、ゲットだぜ?

「で?その嬢ちゃん、どうすんの?」


「はぁ。親の情報がゼロなんで、取りえずは誰かの家で預かっておくべきかと・・・」


 思うんですがね。と門番さんは困り顔。

 あーあ。私迷惑かけてるなぁ。


「オレが預かろうか?」


「は?バルドさん何言ってるんですか?!あなたはこの子の教育上ふさわしくありません!」


 そーだそ-だー。門番さんの言う通りだ―!


「失礼な奴め。嬢ちゃん、俺のところに来るだろ?」


 懲りずに言ってくるバルドさんに、思いっきり首を振ってやった。

 思わずといった感じで門番さんが吹きだした。


「ふっ振られましたねバルドさん」


 わー、フラれるのなんて生れて初めてだー!とバルドさんが大騒ぎ。

 面白い人だな。バルドさんは。家には行かないけど!


 その時、ガチャッとドアの開く音がした。


「お前ら、何を騒いでいるんだ」


 そんなに元気があるならもう少し訓練増やすか?と二人を脅すイケメンさん。

 イケメンさんはどうやら偉い人の様だ。二人の背筋がピシッてなったし。


「「副団長!お疲れ様ですっ!」」


「あぁ」


 わーぉ。副団長って上から二番目じゃないか。めっちゃ偉い人?!

 とか思っていたら、イケメンさんもとい副団長さんが私に視線を向けた。


 なんか、威圧感があるなぁ。――つまり、怖い。


「・・・えっと・・・おつかれ、さまです?」


 誤魔化すように、私は愛想笑いを張り付けた。


「何だ、それは?」


 副団長さんが怖い!「それ」って私は物ですか?!

 副団長さんの冷たい視線から逃れるために、私はしれっと門番さんの陰に隠れる。


「副団長!彼女は城門前に居たところをオレが保護しました!記憶が無いようです!」


 門番さんが、これまたピシッと答えた。軍隊だー。


「で?どうするつもりだ?」


 おっと?副団長さん、記憶が無い発言を華麗にスルーしたよ?冷静過ぎ!


「保護者が見つかるまで誰かが預かるのが妥当だと思うのですが・・・」


 と、バルドさんが言葉を濁す。

 なんか、申し訳ない。


「そうか」


 そう言って副団長さんは、私をじっと観察する。

 うー。謎の緊張感。

 仕事の面接より緊張している気がするのは、気のせいか?


 その状態をキープすること、体感時間でおよそ三十分。実際には数十秒。


「・・・あの、わたしのかおになにかついてますか?」


 沈黙を破ったのは、緊張に耐えられなかった私だった。


 ・・・。


「私が引き取ろう」


「「は?」」


 返ってきた言葉が意外すぎて、副団長以外の声がピタリと重なった。


 副団長が、私を――引き取るの?



 くして、私はこの世界で保護者を得たのだった。

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