第4話 プロローグ(3)
「そう。貴女たち人間の言う理想の人生なんて、どこにも存在しないもの」
だから正解、と彼女はあっけらかんと言い放った。
「存在、しない?」
「そうよ。どの世界を探したって、一片の迷いもなく人生を誇れる完璧超人なんていやしないの!大体ねぇ、人間に限らず生きとし生けるものは皆、何かしらの欠点を抱えているものなのよ。欠点があるから成長できる」
ね?
確かに、そう・・・なのかもしれない。
「私たちにだって欠点は山ほどあるわよ?アシェル——ウチの子なんて、その筆頭なんだから」
茶化して笑う彼女につられて、私も笑う。
「
流石女神様は言うことに説得力がある。
不便というのは、生活水準の低さだろうか。
「ま、その辺は私からのサプライズプレゼントよ!着けばわかるわ」
「あー、はい」
うーん・・・なんだか、嫌な予感がするなぁ。
「そんなことより、そろそろ時間みたいね」
そうか・・・時間。
長いようであっという間だったなぁ。
願いがかなうなら、もう一度。
「女神様、また・・・会えますか?」
「そうね、私もトモコに会いたい。だから・・・神殿に来て」
「神殿、ですね」
そこに行けば、女神様とまた会えるということだろうか。
「えぇ」
段々視界が白くなっていく。本当に、時間切れは近い様だ。
「では、女神様」
「ベアトリーチェよ。私の名前。・・・貴女には、リーチェって呼んでもらいたいわ」
そう言って女神様――リーチェ様はいたずらっぽく微笑んだ。
「分かりました。リーチェ様」
「ありがとう。それじゃあ、いってらっしゃい。トモコ」
「いってきます!リーチェ様!」
その瞬間、私の視界は真っ白に染まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
トモコが去った後、ベアトリーチェはひとりごちる。
「
「さてと、こちらは無事に終わったことですし、アシェルを捕まえに行きましょうかね。・・・いくら事故とはいえ、神の眷属が異世界の人間を殺めてしまうなんてあってはならないことですから。二度とこのようなことが無いようにしておかねば」
ネコなんて良いかもしれませんねぇ。ふふふ。と、大の猫好きである女神は去っていった。
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