おなかいっぱい

第1話

最近、あまりいいことがない。

考え方のせもあるのだが、悪いことが重なっている。

呪われているとしか思えない。

「部屋にぬいぐるみを飾っておくと、その子たちが悪運を吸い取ってくれるよ」

友達から聞いた。

迷信であることは、間違いない。

私は、女子高生だが、部屋にはぬいぐるみがひとつもない。

まあ、この歳になると、なくても不思議はないが・・・

でも、物は試し。

私は、ぬいぐるみをいくつか買ってきた。

そして、並べてみる。

何も答えない。

当たり前だが・・・

「お前、高校生にもなって、ぬいぐるみなんか買ってきたのか？」

お兄ちゃんに言われる。

「ぬいぐるみを飾って置いたら、悪運を吸い取ってくれるって聞いたから」

「迷信だろ？そんなの」

「私も、そう思う」

「全部でいくらしたんだ？」

「合計３０００円」

「その程度で、ご利益あるのか？」

値段の問題ではないと思うが・・・

一応、記念にスマホで写真を撮っておこう。

何の記念かは知らないが・・・

数日後・・・

「なあ」

「何？お兄ちゃん」

「こいつら、少し大きくなってないか？」

「そう・・・？」

私は、スマホの写真を見る。

確かに、大きくなっている。

わずかだが・・・

今回も、スマホに収めておこう。

数日後・・・

「なあ、また大きくなってるぞ」

「本当だ。大きくなっている」

「本当に、悪運を吸い取っていたりしてな」

「まさか・・・」

でも、この子たちが来てから、少し運気が上向いている気もする。

気持ちの問題かもしれないが・・・

「このままだと、破裂したりして」

『もう、満腹です。あとは自力でお願いします』

ぬいぐるみたちの声が聞こえてきた。