第36話 ティアナード家
「ここがユーアの実家か。」
白斗達4人はユーアの実家、ティアナード家の前にいた。
「大きいですね〜。まぁ私の城と比べたら小さいですけど。」
「超大型ダンジョンと比べたらいけないでしょう。」
「…本当、行きたくなかったんだけど…。」
「ユーアは最後まで抵抗してたもんな。」
「『行きたくない〜。』って騒いでましたよね!かわいかったですね!」
「そういうところは年相応ですよね〜。」
「師匠!シアちゃん!エイト!」
「「「ははははは」」」
すると、門の前でニアが出て来た。
「ユーア様、無事来てくれたようで何よりです。」
「ニア…私は強制的に連れてこられたのよ!」
「ふふふ,御三方もありがとうございました。」
「ニア!!」
ユーアが泣きそうな顔をしている。余程来たくなかったのだろう。
「それでですね、当主様が是非御三方にはお会いしたい、とのことなので、一度来て頂けることは可能でしょうか?」
「勿論だ。俺らはユーアの護衛で来たのだからな。」
「それでは、どうぞ。」
そして俺達はニアに連れられて、ティアナード家当主のところに向かった。
それらしき豪華な扉の前でニアがノックをした。
「サイアス様、よろしいでしょうか?例の方々をお連れしました。」
「ええ、入って下さい。」
扉の奥に居たのは実年齢の40歳とは思えない程若い男性だった。
「今日はわざわざありがとう。俺はこのティアナード家当主、サイアス・ティアナードだ。」
「お初目にかかります、当主様。ユーア嬢のパーティーメンバーである上原 白斗と申します。」
「僕も同じく、ユーア嬢のパーティーメンバー、また白斗様の【スキル】である、エイトと申します。」
「私はユーア嬢のパーティーメンバーであり,白斗様の従属、そして元精霊神のシア・ユーニカラスと申します。」
サイアスと白斗、エイト、シアが自己紹介を交わした。
「冷静だな、その年齢とは思えない。この度はシアを連れていただき、誠に感謝する。まさか、ここまでの実力者とは思っていなかった。神崎が推薦するだけはある。…シアも強くなった物だ、あの時からは考えられない。」
「いいえ,お父様。師匠に助けていただいたお陰であります。」
「師匠?」
「はい、白斗様が私の師匠になって頂いています。」
「師匠…か……。」
それまでのサイアスの雰囲気から威圧感が加わった。
「白斗殿よ。我の試練を受け、合格せよ。そうすれば師匠と認め、ユーアの自立を認めよう。」
「試練?」
「我直々にお主の実力を見抜く、実力は力だけではないからな。」
「わかりました。受けさせていただきます。」
「それでは試練の内容を明かそう。第一の試練は【次の品物を持ってくること】。その品物は
・精霊鉱石
・世界樹の涙
・幽霊の核
・地獄の炎の塊
・深海の目
の5つだ。」
「成程、【天神の落物】を作るおつもりですね。」
「正解だ。無論、ユーアを入れた4人で開けてもらっても構わない。それでは頼むぞ、何日かかっても大丈夫だ。」
「分かりました、入手して参ります。」
「健闘を祈る。」
そうして、俺達は屋敷を出た。
「あの程度だと簡単だな。俺以外には難しいかもしれないが。」
「簡単ですよ。【全知】で場所、入手法はわかりますから、数時間頂ければ。」
「私なら実物そのものを持って来れますよ〜。」
「私は…難しいかもしれないですね。【生産系】などは持ってないから。」
「なら3つ持ってこようか。ユーアはエイトと行ってくれ。少しは力になるだろうから。」
「わかりました、師匠!」
「それでは終わり次第、家に来てくれ。」
「「「了解!」」」
半日後、ユーアとエイトが家に帰って来た。
「はぁ、はぁ、エイト、速すぎるわ。」
「あれには慣れてもらわないとですね。」
「まさか4箇所を回るとは思わなかったわ。」
「お陰でスピードは勿論、思考力なども身についたでしょう?」
「精霊洞窟に精霊鉱石、世界樹に世界樹の涙、SS級ダンジョン幽霊墓地に幽霊の核、地獄に地獄の炎の塊、深海に深海の目、しかもどれもが遠すぎるなんてスパルタすぎますよ。」
「まぁ、ちょっと順番を変えたら先程の3分の1程度で済んだんですがね〜。」
「本当にドSね。エイト。」
「でも2つも作ったんですよ!これは優勝です!」
「数で大会でもしてたの?」
「そりゃ、スピードと量を競うものですよ!深海の目が2つしかないせいで2つしか作れなかったのが残念ですが。」
「【天神の落物】、あらゆるオーラを覆ったような宝石、ここまで綺麗なのね。」
「見えましたよ!家!さぁ主はどうしてるのでしょうか?」
2人は家の前に自分達が持っているものが10個程に見えた。
「ん?見間違いかな?」
ユーアが目を擦ってもう一度見たがそれは現実だった。
「あ!ユーア!エイト!取って来れたか?」
「取ってこれましたけど、師匠、これは一体?」
「ちょっと作り過ぎちゃったね!【アイテム創生】と【合成】を続けてただけなんだけどね。」
「ちょっとじゃないんですよ!師匠!普通全部で2つなんですよ!?頭おかしいんですか!?」
「主、頭おかしい、3人目、おめでとうございます…。」
「嬉しくないな……ん?」
白斗の耳に「白斗様!」という声がした。
「白斗様〜〜〜〜!!!」
どうやらその声は上から聞こえるらしい。
白斗達が上を見上げると、空からシアと大量の宝石が降ってきた。
「助けて下さい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」
「は?」「え?」「空からですか。」
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」
「任せろ。【弾力結界・スライム】展開!」
シアの下に結界が引かれ、シアと宝石はまるでスライムで跳ねたように跳ねて、着地した。
「ワオ、凄い楽しかった!」
「でもシアは精霊神だから風を使えば着陸できたんじゃ?」
「あ!細けぇ事は気にするな!だよ!」
「それで,もう驚かないけどその大量の【天神の落物】は何?」
「あのね,ちょっと天神様のところに行って来て、【天神の落物】を貰いにいったんだけど。」
「え?天神様と知り合いなのですか!?」
「うん、私のお義母さんだよ!」
「は〜」
「それで、【天神の落物】を作るには膨大な圧力が必要なんだけど。」
「たしかに、合成の時に圧力魔法を使いますね。」
「成程、それで落とされたと。」
「そういうこと!」
「斬新だね〜。」
「それで、合計は僕達が2個、主が10個、シアが285個なので297個ですね。」
「うわ〜、微妙。」
「いいじゃない。これ見せたらお父さん失神するわよ!」
(外では「お父さん」なんだな。)
「そうですね。どうしますか?今から行きますか?」
「そうだな、早い方がいいだろうから。」
「じゃあ出発ね!」
「【転移・ティアナード家前】」
そうして俺達4人は日が暮れ、月が姿を見せた頃に本日二度目のティアナード家に向かった。
前回と違う点はユーアがとても楽しそうなことだろうか。
To be continued
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次回予告
第37話「魔霊洞窟」
ダンジョン「霊洞窟」にて白斗達が無双する!
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