第28話 精霊神と契約
ここは白斗の精神世界でのこと…
「俺,死んだのか……。」
そこに白斗は1人、浮かんでいた。
「みんなに期待して貰ったのに、全く役に立たなかった…神様の特訓での成果も使えなかった…開発した魔法も広範囲すぎて、使えない。……全く、ダメだな。」
その時,声が聞こえた。
「ダメなんかではありませんよ。」
「え?」
「あなたは私を救ってくれた,そんな貴方がダメなわけがありません。」
そこに現れたのは先程倒れていた女の子だった。
「私は【精霊神・シア・ユーニカラス】、ハクト様、我と契約ーー従属契約を結んでいただけないでしょうか?」
「従属契約?」
「元々我は精霊、そしてこの城を守る存在,迂闊に契約などできない、けれど精霊を守る為なら、そして何よりあなたに惚れてしまったから、貴方について行きたいと思ったから。」
白斗はその透き通った眼を見て、迷っていた。
「後悔はさせません。契約すれば我の力を使える、ハクト様には【共鳴】がある。我の力を我以上に使いこなせる。」
「そこに迷っているんじゃないんだ。君をーーシアを今後幸せに出来るのか、と。」
「この戦いの先を見る…流石ハクト様です。大丈夫ですよ,我はハクト様と一緒にいれるだけで幸せですから。」
「…わかったよ、シア。契約しよう。」
「ありがとうございます。」
「では,シア・ユーニカラス、汝を我の従属とする。汝は本当に我についてくるのか?」
「勿論です。ハクト様。貴方に一生ついてまいります。」
その時、2人から青白い光が放たれた。
「従属専用のオーラ……。」
「絶対に後悔はさせないからな,シア。」
ー現実、精霊神城第五層ー
「堕ちたか、コイツで精霊神を……!?な!?…なぜ自我を!?」
「お前程度にはやられないってことだ。」
「もう一度終わらせてやる!鎖よ!」
リアードは人体操作の鎖を白斗に放った
「【共鳴・幸運支配】」
だが,鎖は一つも白斗に当たらなかった。
「は!?」
「次は俺からだ、【共鳴・自然支配】」
「自然支配!?…目には目を、自然には自然を!【魔司能力・自然操作】!これを威力干渉で威力を高めて……【魔司能力開花・自然支配】!!!」
膨大な自然と自然がぶつかり合う。
「威力干渉で威力を高められる分、あちらが有利,なら!【絶零剣プリミティーボクシポス】!」
アースタートルの巨体を貫いた光線が繰り出された。
その光線は全ての自然を貫き、リアードを貫いた。
「がはっ!!」
「貫いた。でもまだ油断はしない!」
「まさか、俺がここまで…こんなこと!あっていいはずがない!もういい!この城をこの大陸ごと吹き飛ばす!ナベリウス様の全力を超える力を!【自然支配・終焉の舞】!!」
「遂に全力で来た。相当な威力だな。もし,今、俺の理想を通せるのであれば…あれを消し去ることもできる。やろう,貯めるんだ,俺の全力を、シアの力を!!」
「ふふ、なぜこんな簡単なことを思い付かなかったのか。全て薙ぎ払えば問題ない!…喰らえ!」
リアードの貯めた力が爆発しそうになった時、白斗が全力を出した。
「見せろ、俺の真の力を……」
ーー【命】
白斗の力は爆発を全て包み込み,リアードごと消し去った。
「命、俺の全力の技,俺が今一番思ったことを実現する技。…これで全てが終わるんだな。やっと以前の平和が戻ってくるんだ……俺,世界、救えたかな?」
その時,強烈な目眩が白斗を襲った。
「あ……不味い,力が……抜けて…。」
「ハクト様!」
「主、私は貴方を誇りに思いますよ。」
エイトとシアは白斗を背負って家に帰っていくのだった。
To be continued
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次回予告
第一章最終話・第29話「取り戻された平和」
そして本来の平和な日々が始まる。
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