第40話 細部打ち合わせ
一旦応接間での話は終了し、栗木と本橋順子には帰って貰った。社長自ら玄関まで送り、二人に、お似合いですね、と。
自見は、社長は本当に飾らぬ人柄と気配りの人だとしみじみ感じた。社長がポケットマネーで、二人が要した費用と、その謝礼を別室で渡していた、ことも。大同が、社長の力になって欲しい、それは義兄としての立場だけではなく、社長そのものの美質を愛していたからこそ、だ。
真地間隊員の自殺真相調査会議終了後、社長自ら佐藤女史に頭を下げたとき、自見の胸に込み上げるものがあった。
「大場さん、中央道高井戸総合ターミナル物流センターの会合で、私達と行動をともにして頂くことは可能でしょうか」、と社長が、
「はい、私では力不足でしょうが、幸い担当者とは些か面識がありますので」
「有難う御座います。大河原さんは財前経理部長を連れて」、と、一息おいて、社長は、自見に目配せしながら、図師に
「図師さんも同行して下さい」
「え、社長、それは」
と驚愕する図師に、自見は
これは、大同会長のご遺志です。図師さんのことを気にかけておられました。自分が少し図師を甘やかしたことが、結果最悪な事態となった。この責任は全部自分にある。折を見て、図師を救ってくれ、と。
図師の目から、もう涙が、涙が、涙が、声を上げて泣いた、泣いた、泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます