第40話 細部打ち合わせ


 一旦応接間での話は終了し、栗木と本橋順子には帰って貰った。社長自ら玄関まで送り、二人に、お似合いですね、と。

 自見は、社長は本当に飾らぬ人柄と気配りの人だとしみじみ感じた。社長がポケットマネーで、二人が要した費用と、その謝礼を別室で渡していた、ことも。大同が、社長の力になって欲しい、それは義兄としての立場だけではなく、社長そのものの美質を愛していたからこそ、だ。

 真地間隊員の自殺真相調査会議終了後、社長自ら佐藤女史に頭を下げたとき、自見の胸に込み上げるものがあった。


 「大場さん、中央道高井戸総合ターミナル物流センターの会合で、私達と行動をともにして頂くことは可能でしょうか」、と社長が、

 「はい、私では力不足でしょうが、幸い担当者とは些か面識がありますので」

 「有難う御座います。大河原さんは財前経理部長を連れて」、と、一息おいて、社長は、自見に目配せしながら、図師に

 「図師さんも同行して下さい」

 「え、社長、それは」

と驚愕する図師に、自見は

 これは、大同会長のご遺志です。図師さんのことを気にかけておられました。自分が少し図師を甘やかしたことが、結果最悪な事態となった。この責任は全部自分にある。折を見て、図師を救ってくれ、と。


 図師の目から、もう涙が、涙が、涙が、声を上げて泣いた、泣いた、泣いた。

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