第38話 備品庫室の美紀と咲


 「美紀さん、これ」

 「有難う」

 備品庫室で、秘書の大場咲が美紀にフラッシュメモリーを渡した。自見は、先ほど人事部長に呼ばれ席を離れている。

 「大丈夫だった」

 「はい、専務も木島取締役も私を信頼していますから」

 「でも、ごめんね、嫌なことを押し付けて」

 「皆さんのためです、例え退職することになっても悔やみません」

と、話していたら、自見が戻ってきた。

 美紀が事情を話すと、

 「咲さん、有難う。決して無駄にしないので、本当に有難う」

 「で、お父さん、あのことは上手くいったの」


 人事部長から、小樽営業所の図師所長を本社備品庫室係にする。自見さんは、辞めなくてもいいが、そのフォローに廻ってくれ、と。



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