第28話 美紀と遠藤専務秘書の咲
ショッピングセンターで一頻り買い物を楽しんだあと、軽食のスパゲッティを食べながら、美紀は遠藤専務秘書の大場咲と話している。
二人ともシングルマザーだ、咲は時々備品庫室に顔を見せ、子育ての悩みを打ち明けている。咲の一人娘は3歳、近頃は反抗的な態度をとる、美紀は自分も経験しているので、その悩みに適切なアドバイスをする。
自見から、遠藤専務秘書の大場咲とコンタクト取れないか、と相談を受けた時、お父さん任せて。当然、居酒屋でのことは聞いている。
大場咲は、遠藤専務の前秘書が結婚退職となったので、経理部から異動、間もなく2年となる。来てみると、遠藤専務のパソコン知識の貧弱さに先ず驚いた。
そして、資料で説明する社員を何よりも嫌う、俺に分かるように説明しろ、俺が納得出来ない資料は何の価値もない、時には投げつけることもある。
自見が作成した、K支社総合ターミナル物流センター警備隊真地間隊員自殺事案真相調査、の膨大な調査資料など目にしただけで、放り投げた。
秘書だから、遠藤専務とバルザックの内野副社長との繋がりは分かる。仕事上知りえた情報を漏らすことは、秘書として最低で恥ずべきことだ。しかし、美紀から、遠藤専務の背信行為、それが全社員の生活に多大な影響を及ぼす、の動きがあることを聞いた時、その迷いは消えた。
従兄弟の誠からも、咲ちゃんの力を貸して欲しいと。誠には、離婚のことでお世話になっている。素敵な彼女を得て、この秋には結婚することも。
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