第27話 作戦
東京に戻った自見は、社長と大河原取締役に居酒屋の事を話した。遠藤専務の包囲網は整った。皆の、大同警備を思う気持ちも共有出来た。材料は揃った、あとは、どう料理するか。
そこで、先ず、初級幹部試験に合格した水野班長を本社業務課に異動させ、今でも何かと遠藤専務と繋がっている泉課長の部下に配置する。
次に、幸子と婚約者の大場管理センター所長の従妹が、遠藤専務の秘書になっている、従妹の方の協力を得て、遠藤専務の背信行為の証拠を掴む。
第三に、今回の増資を含む大同警備に最も影響力を持つ、大株主の古川氏に、合併、しかも大同警備に不利な条件での吸収合併があることを報告する。
そして、図師を本社に戻す。しかし、管理部門ではなく、備品庫室係として。自見はパートなので、図師の補助に。
居酒屋で、図師がそれを提案したとき、流石に自見も、
「曝しものになるよ」
「一度死んだ身です、朋美も了解しました」
朋美が、
「幹夫さんのお母さまは、自見さんを信じなさい、信じてこそ貴方の未来が開けるのよ、と。私も、お母さまと自見さんを信じます」
自見は、経理に明るい図師が必要なことは分かってはいた。しかし、小樽では遠すぎる、何とか東京に、と。
社長と大河原取締役は、自見の作戦に頷き、早速行動した。もう待っていられない状況だ。前年の株主総会は何とか切り抜けたが、社長主導の経営改革が成功しなければ、大同警備の未来はない。
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