第24話 図師の訪問
「自見さん、図師です、今東京に来ています、お会い出来ますでしょうか、高橋朋美さんも一緒です」
「そうですか、では自宅でお待ちしています、此処は分かりますか」
「佐藤弁護士から聞きましたので分かります」
日曜日の昼下がり、先日は皆で打開策を練ったが、これといった妙案も浮かばず、良子が入れてくれたコーヒーを飲みながら、思案に暮れていたときだった。
インターフォンが鳴って、良子が二人を迎えた。応接間で待っている自見に、図師が、
「自見さん、今日は高橋朋美さんとともにお詫びにきました。申し訳ありませんでした」
傍らの朋美も
「本当に済みませんでした」
と、深々と頭を下げそのまま顔をあげなかった。
「頭を上げて下さい。良く来てくれました、本当に嬉しいです」
頭を上げた二人に、自見は慈愛の眼差しを向けた。
その眼差しで、図師は、母が言ったことを思い出した。貴方は、自見さんの真の姿が分からないのよ、自見さんの調査資料だけに拘っているけど、ちゃんと会って、目を見ながら話してみなさい。
ああ、早くこの人と話すべきだった。大同会長が、調査に自見を向かわせたので、協力してくれと言っていた。しかし、俺はこの人を見くびっていた、と同時に俺は、自分の不行跡がばれるのを恐れていた、否絶対にばれない自信はあったが。
二人は近況を話した。自見も、良子も黙って聞いていた。二人が真地間宅に行ってお詫びする、と言ったとき、始めて自見は口を開いた。
「図師さん、有難う、真地間さんのお母さん、そして幸子さんがどんなに喜ぶことでしょう」
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