第16話 紛糾
遠藤が、「何だ、この正社員を減らすと言うのは」
「専務、正社員の比率を減らし、その分優秀な人材を得ようということです」と、言う、採用担当の小島部長に
「馬鹿なことを言うな、創業者は、大同警備で働くものは皆同志だ、その同志に差別があってはならないと、云われていたことを忘れたのか」
「それは分かっていますが、他社に比べ正社員の比率が高く、その分経費がかかり、経営を圧迫しています」
と経理部長が、資料で説明するのを
「こんなことをしたら、反発を招くだけだ」
「いえ、多少の痛みが伴うことは仕方がない。敢えてそれを乗り越えて行こう、社長はこの経営改革会議冒頭で宣言され、我々幹部はそれに賛同しました、専務もそれに賛同されました」
と、新たに経営陣に加わった新任の大河原が言った。
確かに、俺も賛同した。それは大枠においてだ、独立採算制を廃止し、一元管理の趣旨は分かった。だが、個別の問題まで賛同したのではない、この新参者が、と大河原を睨みつけた。
増資は自見の目論見のように株主の協力を得てスムーズに運んだが、肝心の経営改革は遅々として進まず、社長は焦りを感じながらも、遠藤専務が何かにつけて難癖をつけるのを、今は見ている他はなかった。
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