第14話 密談
水仙が庭一面を満たしている。その水仙を座敷のガラス越から時々目を遣り乍ら、遠藤専務は品の良い紳士と話していた。如何にも貴公子然とした風貌は育ちの良さが伺える。それに比べ遠藤は、太り気味の腹を時々揺すりながら、しきりに相槌を打っている。
ここはとある料亭で、二人の密談の場所に使っている。話は、大同警備とバルザックの合併についてだが、まだ具体的な話には至らない。情報交換、否専ら遠藤専務からの大同警備の内情についての話が中心だ。
「で、改革は進んでいるのですか」
「否、一言で云えば足踏み状態です」
「社長は、やる気満々なのでしょう」
「やる気だけでは事は進みません、はっきり言ってリーダーがいないのです」
「遠藤専務は、その立場でしょう」
「形はそうでしょうが、私にはその気は全くありません」
「いやはや、困った方ですね、あはは」
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