第6話スマホ越しの甘い囁き声と後輩の接し方に距離が
翌日の午前5時前にアラーム──ではなく、着信が鳴りだし、スマホを手に取ると見知らぬ番号からで、3コール以上も鳴り続けるので通話に出ることにした。
「もしもし......」
『おはようございまぁすぅー、麻視音せぇ~んぱぁいっ!私とします?朝からえっちぃことぅ~』
通話相手が朝の挨拶を甘い囁き声で言った直後に、変なことを誘ってきた。
吐息を多めに含んだ色っぽい囁き声と付け足しておこう。
「おはようぅー......って花見さんっ!?そんな声で誘惑してもしないよっ!てかっ、何で連絡先が知られてんの?花見さんに」
『訊いたんですよ、先輩の連絡先を』
「一体誰から訊いたっていうの?」
『先輩のお母さん、からですっ!』
「はぁ?いつ......?って、昨日の帰り際に玄関でこそこそしてた時にか?もしかして」
『ぴんぽぉ~んっ!当たりでぇ~すぅ、先輩っ!でっ、します?私とえっ──』
「ウザい......しないってぇ~そんなことっ!ほいほいとそんなことを口にしないでよ、もっと自分の身体を大切にしないと」
『は、はい......マジトーンで注意された。ごめんなさい......先輩の気を悪くさせちゃうこと、言って』
しょんぼりと反省したような声音に変わり、謝ってきた彼女。
「分かってくれたなら......良いんだよ、花見さん」
登校した僕が彼女に出くわしたと同時に彼女の方が真っ先に頭を下げてきた。
幸い、周りには人はおらず、このことは広まることはなかった。
一日中、僕の表情を窺いながら慎重に言葉を選び、距離のある感がひしひしと感じられる様子の花見だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます