憂いの色を帯びたある秋に

冬紛いの秋の快晴を眺む。

凍てつく空気と朝焼けの空に息を吐く。

虚ろなばかりの言葉を吐く。


そんな虚ろな毎日の中にたった一筋の日が射した。


叶うわけないと思いつつも、諦めが悪い私は諦めることができない。

そういうものだから、と思いつつも諦めた方が楽だなぁと思ってしまう。

最後の希望のテストが終わり、あとは結果を待つだけだ。

それでも良い方であってほしいと思うし、変えられなくても変えたいし、諦めたくないし、好きなこともしたいし、努力は裏切らないと信じてみたいし、未来を変えてみたい。願うことが多いのは、私が形のないものしか望んでいないからだ。


きっと人間の欲っていうものは上限が決まっていて、物欲がすごくある人は形のないものに対する欲はあまりないのかもしれない。

だから私は形のない願いばかりを望むのだろう。


それが辛いとわかっているのに、それが苦しいとわかっているのに願ってしまう。

これが私の性なのだろう。

根拠のない自信とよく言われるが、そうであって何が悪いとも思う。

文章では本心を語れるから。

創作の名のもとに隠すことができるから。

いい具合に誰にも知られずに書くことができる場があれば精神状態を保てるから。


そういう風に生きてもいいじゃないか。

そんな生き方があってもいいじゃないか。





葉が色づいたある秋の日、私は空に手を翳してその青に微笑んだ。

黄色の葉が道に落ちて誰かに踏まれている。

それに物悲しさを感じるのは私だけだろうか。

木に付いているうちは綺麗だと言われるのに、なぜ道に落ちたら踏まれなければならないのだろう。でもまぁそれは私たち人間も同じようなものかもしれない。

落ちぶれればそうなるだろうから。

いわゆる盛者必衰ってやつだ。

忘れたい記憶と、忘れたくない、色褪せても残るフィルムみたいな記憶が同義になってきた。矛盾した心のなかは、もう私にはわからない。


なんだかそんな風に俯瞰している自分が存在している。

だから私はこんな話を書いてる。





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