群青降る街、雨の匂いに開放感を感じる。

塾を出たら空を分厚い曇天が覆っていた。

窓ガラスに囲まれた入口から見たから雨が降ってるなんて知る由もなく、、。

傘を忘れた私は容赦なく雨に眼鏡を濡らされる。

自分が濡れることよりも、

リュックが濡れることよりも、

眼鏡が一番私にダメージを与えた。

私はすぐそこにあるはずの車に乗れると確信して

曇天なんていいじゃないか♪

なんて抜かしながらスキップして歩く。

すると、

いつもの場所にあるはずの車がいなかった。


その瞬間。

私は自分がすごく濡れていることに気付き我に返った。

このまま濡れるなんて最悪だ。

無謬の色に濡らされ続けたら私が私じゃなくなるぞ。

なんて変な危機感を抱きながら。

雨の匂いを堪能しながら。

マヌカハニーの飴を舐める。

いつだか友達から雨が降っている時に飴を舐めると舐め終わる頃に雨が止む。

っている迷信を聞いたことがあるなぁ、なんて現実逃避をしながら屋根伝いを歩く。

濡れたくないし。

とりあえず雨は綺麗だ。

駅前に行くと、私と同じように傘を忘れた人達がフードを被って背をかがめて急ぎ足で歩いていた。

フードあるのかよ。

転べばいいのに。

なんて私は変な怨みを呟いた。

視界が雨粒で歪んでいる。

でも拭こうとはなぜだか思わなかった。


話は変わるが、文学とは反社会性を持つものらしい。

だからそれを書いてる私は反社会性を持つっていうことだろう。

皆よりもね。

それは特別感があってなんだかいいな。

いや、いいんだろうか。

なんて自問自答する。

好きな曲の最初のギターが好きで、同じ人達の曲のギターソロみたいなところが好き。

つまり、その人のギターが好きなんだななんて、ふと思う。

雨が落ちる街の群青の中、ボーカルの心に訴えかける歌と、コンポーザーの詩を聴いてこれを書いていた。

風を眺む私に「お帰り」と言いながら。

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