スマホ
鮭さん
第1話
たかし君は家族でご飯を食べる時もスマホを見ています。せっかくの家族団欒の時というのに。全く、中毒です。スマホ中毒。スマホのせいで箸も止まっています。うーん、お父さんはイライラしています。時々舌打ちをしています。
「チッ。チッ。」
怖いです。たかし君は気づいているのか気づいていないのかわかりませんがスマホを手から離しません。視線もスマホから離しません。
「ねえたかし、ちょっと、食事中くらいスマホから目を離したらどうなの?ねえ?家族みんなで食べてるのよ?ねえ。」
「あっ??うるせーんだよ。友達と連絡してんだよ。指図すんな。」
「あんたねぇそれが親に取る態度なの!?」
「あっ??関係ねえだろ。親だからって人の行動に指図するような権利はねーだろーが!!食事中にスマホを見るくらい個人の自由だろ。おい!!なんか文句あんのかよ!!おい!!」
たかし君は強気です。お母さんとたかし君のバトルが始まってしまいました。
「チッ。チッ。」
相変わらずお父さんは不機嫌そうに舌打ちをしています。威厳があり、怖いです。いつか爆発しそうです。
「チッ、チッ。チッ、チッ。」
舌打ちをしながら渋い顔で秋刀魚を口へ運んでいます。ああ、美味しくなさそう。こんな空気の中で食べるご飯なんて美味しくないに決まっています。可哀想、可哀想なお父さん。
「チッ、チッ。チッ、チッ。」
「あのねぇっ!!このご飯は全部私が作ったのよ。あなたのために作ってあげたの!!それを何よ!!スマホを見ながらちんたらちんたら食べて!!そんなんだったらもう作ってあげないからねっ!!何様のつもりなのよっ!!」
お母さんは顔を真っ赤にしています。
「ああ?別に頼んだわけじゃねーんだわ。あんたが勝手に作ったんだろうが。勝手に作ったもの食べろって押し付けて食べないからブチギレるってよ、一体どういう理屈なんだ。おかしいだろ。あんたが作らなくってなあ、俺は生きていけるんだよ。自分で買ってこれるんだよ。」
たかしくんも負けていません。お母さんに向かって声を荒げています。全く、反抗期は怖いです。こんな子じゃなかったんですよ。うんうん。
「チッ、チッ。チッ、チッ。」
お父さんは相変わらず不機嫌そうに舌打ちをしてます。
「チッ、チッ。チッ、チッ。」
「あんたねえっ!!そのお金だってお父さんと私が働いたお金なのよ。私たちが働かなきゃねえ、あなたは食べ物を買いに行くことすらできないのよ!!何を偉そうなこと言ってるのたかしぃ!!」
「何言ってるのさ!!子供を養うのなんて親の義務。当たり前のことだよ。そんな働いてあんたのことかと食わせてあげてるなんて声を大にしていうことじゃないだろ!!あんたこそ何様のつもりなんだよっ!!」
「きぃいいいいいっ!!全く、お父さんも何か言ってよっ!!」
お母さんはお父さんに助けを求めます。
「チッ、チッ、チッ、チッ。」
丸い時計が椅子の上に置いてありました。
「ああっ!!お父さんが時計になった!!」
「ああああっ!!時計になったああああっ!!」
完
スマホ 鮭さん @sakesan
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