ドラゴンフルーツ・ピーナッツ・ミルク・フラッペ

青条 柊

第1話

 『STAR バックス』で起きた不思議な出来事の話をしよう。

 

 ある日、行きつけの喫茶店STAR バックスで美味しいコーヒーを飲んでいた時だった。

 ふと、スマホを手に取ると、それは俺のスマホではなかったんだ。

 隣の席に座っていた人が持って行ったのかもしれない。

 パッと見ゴル〇13の様に見えるカッコいいおじさんが座っていたのだが、間違えたのだろうか。

 あの人ドラゴンフルーツ・ピーナッツ・ミルク・フラッペ飲んでたんだよな……。

 

 少し、魔が差した。

 

 スマホの電源ボタンを起動させる。

 あ、コレ、ロックかけてないや。

 すんなりとホーム画面が開かれる。

 うわぁ、メールが千件も来てる。なんだなんだ、えろサイトでも踏んだのか?

 

 やっぱり、魔が差した。

 

 メールを開いてみる。因みに、LI〇Eではない。普通のメールの方だ。

 一番上は……ミユ【変態オヤジ急募】。

 やっぱ出会い系だ。ドンマイこのスマホの持ち主さん。

 次は……シオリ【明日って会えない?】

 これもそうだな。いや、どんなん踏んだんだろう?何か哀れだな。このせいでメール千件って。迷惑メールの登録方法知らんのかな……

 

 さてさて?三つめは――――ファ!?

 え?いや、ふぁ!?【隣にいる未亡人を殺してください】?すごい出会い系の文句だな!?

 ええと、四通目が【貧乳はお嫌い?】うん。出会い系。

 五通目は【隣人の爆乳未亡人を殺してください】ちょ、何で未亡人にこんな恨みがあるの。

 六通目は、【普通じゃ嫌なの】どういうのだよ。

 七通目は、【普通じゃ嫌なの、逆さに吊るして脳みそぶち抜いてね】それなの!?そんなプレイあんの!?マジで!?世界は広いなぁ……

 八通目。【貧乳嫌いだった元カレの口にオレンジぶち込んで殺してください】

 えぇ……何したん元カレ……

 九通目…【最上雄介(63)を殺してくれ 住所:鹿児島県-------】

 普通の殺人依頼。

 十通目、って、ちょっと待て!?殺人依頼じゃん!?え?上のもそうだったりスンの!?もしかして隣に座ってたんガチのゴルゴ1〇!?え!?〇ルゴ13って銃以外にオレンジも使うの!?

 

 いや、え!?

 

 驚いて支離滅裂になりそうな思考を制御させず、そのままの勢いで下へ下へとスクロールさせていくと、殺人依頼ばかりだった。

 大体出会い系四割、殺人依頼三割、ちょっと判断つかない奴三割だった。

 いや、出会い系多くない?ゴ〇ゴもそーいうサイトよく見んの?

 

 というか、判断つかない奴は何したいん?いや、そういうプレイなんかが分からない。【お嬢様を昇天させてください】とか【婚約者の男には彼氏がいたので、腹がったてやれないので、その彼氏の彼女を殺してください】

 

 

 ……いや、どういう状況。

 


 一番下は、【悪代官を殺してください】いや、ついに必殺仕〇人。ゴル〇ですらなくなった!

 

 ピロン♪

 

 随分可愛らしい音声で新着メールが来た。

 スクロールして、一番上まで戻した。

 【三田玖郎を殺してください】

 

 随分と変な……俺の名前じゃねえか!!!???

 サンタクロースと揶揄されることの多い俺の名前じゃねえか!!

 母親と父親の深夜テンションで名づけられたというクソみたいなこの名前が世界に二人と居るとは思えないぞ!?絶対俺じゃん!?

 

 え!?いや、ちょ!?嘘だろ!?いや、嘘だろ!?

 

 ピロン♪


 もう一通来た。今度は一番上だったのですぐに見れた。

 【突撃♪隣の未亡人!】




 …………なんか冷静になったわ。何で、隣に未亡人いるの前提なん。

 取り敢えずこのメール消しとくか。いや、隣の未亡人の方じゃなく、俺の殺害依頼の方。

 削除を選択して、―――何だこの赤いカーソル?

 

 パン!!


 次の瞬間手の中にあったスマホは、粉砕された。

 

 ……どうしよう、取り敢えず、元に戻しておこう。

 スッと半分しかなくなったスマホを裏返して元の場所に戻した。

 …うわ、何かひでぇ。逆に酷いのが強調されてる。


 どうしよ……。

 取り敢えず。

 「マスター。ドラゴンフルーツ・ピーナッツ・ミルク・フラッペ一つ」

 

 あ、俺のスマホどうしよ。

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ドラゴンフルーツ・ピーナッツ・ミルク・フラッペ 青条 柊 @aqi-ron

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