陰キャ妹のエロッちい着替え動画を勝手に撮影して動画投稿→両親に溺愛され人気YouTuber気取りの陽キャ姉だったが....

雲川はるさめ

第1話





陰キャ妹の着替え動画を勝手に撮影して動画投稿→両親に溺愛され人気YouTuber気取りの陽キャ姉だったが....


「あ、そーだ!着替え動画投稿すれば、男が喜んで見るわよねw」


「とはいえー、私の着替えは恥ずかしいし

貴重だから!

私の劣化版のユナの着替えを隠し撮りしちゃお!際どい一歩手前の健全な危なくないやつを!あくまで下着の一歩手前くらいのやつを!」



私の知らないうちに。


私の着替え動画がYouTubeに上がっていた。

「な、何これ...汗」




私の双子のお姉ちゃん、で中三のユミは。

とにもかくにも

有名になりたいみたいだった。

卒業文集の将来の夢って欄に

「アイドル」って書いてた。

何度もオーディションを受け、

今まで何度となく落ちてきたけど。

それにめげることもなく、

未だに挑戦し続けてるあたり、ある意味

妹の私は姉のユミをすごいなぁと感心していたんだ。私より顔も良くて勉強もできる。

その上、運動もできるから、挫折なんて、

オーディション落選くらいなのだが。

その落選も、ユミは、両親は。

何かの間違いだと思い込んでいた。




お姉ちゃんと私は。

同じ空間を二人で分け合っていた。

とは言っても、お姉ちゃんの方が私より

ずっと両親に可愛がられていて、

スペースもどちらかというとお姉ちゃんの方が広かった。何しろ、おもちゃやテディベアなどの縫いぐるみ、洋服の類いも私よりお姉ちゃんの方が持っていたから。

そんなお姉ちゃんが、


YouTubeを始めた。

目的は、有名になること。

顔出しして、芸能事務所の人とかの目に留まって小さい頃からの夢だったアイドルになることだった。


ある日の事。

お姉ちゃんの嘆きを聞いた。

円形のクッションを抱きながら

こうぼやいていた。


「あーあ!憧れのYouTuberになって

一ヶ月」

「自分で言うのもなんだけど、

結構可愛い私の顔出しで

有名になろうと思ったけど、全然だめね」


「フツーの動画じゃだめよね」

「もっと過激にやんなきゃ、だめかしら」


お姉ちゃんが私の許可なく

動画を撮影し、YouTubeにアップしていた。


翌日、学校に行くと。


みんなが変な目で私を見ていた。

遠巻きに、変なものでも見るように。

おはようの挨拶もしてこない。


教室に入るなり、

親友のミドリちゃんが、

「た、大変よ、ユナ!!これ、見て見て!」


「あんただよねぇ!これ!

顔も写っているし、しかもこれ、際どい映像だよ。途中で止まってはいるけどさ!」


室内でスマホの画面を見せられた。


唖然とした。


再生された動画には。


私が映り込み、パジャマからのー、

制服に着替える動画だった。


危ないところはスキップされてはいるが、

恥ずかしかないと言ったら嘘になる。


「おねぇちゃんの仕業だ」


蒼くなり、

お姉ちゃんの教室に大慌て向かった。


すると。


「あら、もうバレたのね」

とどこ吹く風。


「は、早く消してよ!酷いよ、お姉ちゃん!

勝手に撮るなんて!」


「別に。酷くないよ。おかーさんもね。

ユナを踏み台にあんたが有名になれるんなら

すればいいって言ったし」


「おとーさんもね、お腹チラッとくらいなら

まぁ、いいか、だってさー」


物心ついた頃から。

私は両親のことがあまり好きではなかった。

今日まで育ててもらってはいるが、

いかんせん、二人ともユミちゃん寄りだった。


私は、ユミちゃんの劣化版的存在。

ユミちゃんが日向の子なら、

私は日陰の子。


「見てこれ。かなーりバズってるw

この勢いなら、そのうち、私の他の動画にアクセスが流れて、芸能事務所からのスカウト来るかもだしー!」


「てか、きっと来ちゃうよねーw」


「じゃ、じゃあさ、せめて、私の顔は

モザイクかけるとかしてよ!!」


「いーやーよー」


「なんで?」


「あんたは私の引き立て役だもん!

あんたの顔が鮮明に映ることによって、

投稿主の私の顔が際立つの!

だから、あんたの顔は必要不可欠なの!

映ってなきゃいけないのよ!」


こんな会話をしていたら、

生活指導の先生が怖い顔して

私とユミちゃんを呼びつけた。


このあと。

私は指導室で色々と尋問され、

正直に告げた。

私の意思とは無関係に姉に勝手に撮影されたことを。


ユミちゃんは泣けば許されると

思ったのか、ぴえんぴえん声を上げて泣いたけどダメだった。


生活指導の先生は

可愛い顔した生徒だから、という

理由で特定の生徒に甘くしたりとか、

しない人だった。


動画は無事に削除された。


ユミちゃんはYouTubeを辞めた。


多少なりとも平和になった頃。



待でユミちゃんと一緒にいたら

声をかけられた。

渋谷のスクランブル交差点での信号待ち。

かなり年配の黒いスーツ姿の男性だった。


「突然、ごめんね。

私はこういう者だけどね」


私に渡された名刺。

ユミちゃんには渡さなかった。


「えっ、え?」


「おじさん、私には??」


「あー、えっと。君じゃなくて、

スタイルのいい女の子の方に用事があってね」


「嘘....」


〇〇モデル事務所、それから氏名、

と記載があった。



私がマジマジと名刺を見てたら

ユミちゃんに奪い取られた。

すぐにユミちゃんが叫んだ。


「モデル!?私、やりたいんですけど!」


ユミちゃんが、ずいと身を乗り出したとき。

おじさんが申し訳なさそうにユミちゃんに謝罪後、こう切り出した。


「大分、前になるけどさ。

YouTubeにアップされた着替え動画、

拝見したんだよ。是非そのプロポーション、

活かせる仕事をしてみないか?」


続けて


「心配しなくていい。うちはそんな

いやらしい写真を撮ったりはしないよ。

普通のファッション雑誌だ。

返事は、直ぐにとは言わない。

親御さんと話し合ってこの世界に入るか

決めてくれれば、それでいい」


一旦は保留にし、

帰宅した私。


ユミちゃんはプリプリして私と距離をとって

歩き、帰宅後も私と全く口を聞いてくれなかった。


お母さんとお父さんに

モデルの話をしたら

とてつもなく驚かれた。


「ユミちゃんじゃなく、あんた!?」と。

お母さんは、ユミちゃん可愛さに

「おねえちゃんに譲りなさい!」と

言ったけど。


お父さんが、

「おいおい、ユミじゃなく、ユナにきた話なんだ。そんなことできないだろ!」

と初めて私よりの見解をしてくれた。

素直に嬉しかったのでした。


こうして私は。

承諾を両親から貰った。


歳月が流れ。

私が雑誌の表紙を飾るほどの

モデルになった頃。


お母さんが私とお姉ちゃん、差をつけて接していたこと謝ってくれた。


お姉ちゃんは相変わらずいじれてる。

26歳の今でも。未だに

オーディションを受けまくり、

不合格になっては家でぶつぶつ。

「あんたのコネで何とかならないの!?」

「私を芸能人にしてよ!」

って時々凄まれるけど、


コネでもどーしよーもならないことが

世の中にはあるみたいです!


あの日、やや恥ずかしい動画をユミちゃんに

撮られたけど。結果的に、モデルになれたから

ま、いっか、と今では思っているんだ。


























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陰キャ妹のエロッちい着替え動画を勝手に撮影して動画投稿→両親に溺愛され人気YouTuber気取りの陽キャ姉だったが.... 雲川はるさめ @yukibounokeitai

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