『この学校に、重油が飲めないやつがいる』
大ニュースだった。
この学校に本物の「ヒューマン」が紛れ込んでいる。そんな噂があっちこっちで飛び交っていたのだ。
「そんな話、信じられません」
俺の前に座っている女の子、スミカちゃんがそう零した。
「いや、わからないぞ。やつは『アンドロイドのフリ』が上手いらしいんだ」
噂好きの男の子、チェージンが煽るように話す。それでもスミカちゃんは納得できてない顔だった。
「原始的なヒューマンにそんなことができるとは思えませんが……。本当なら面白い話ですね。もし見つけたら、警察に連れていく前に色々実験してみないと」
気が進まなかったが、俺は一応訊いてみた。
「実験って、たとえば?」
「私たちがエネルギー源としている重油を、ヒューマンの原始的な消化器官にぶち込んだらどうなるか、前から気になっていたんです」
「へー。なるほどね」
自分の頬がひきつっているのが分かった。
「たぶん死ぬと思うから、やめたほうがいいんじゃない?」
「どうしてそう言い切れるんですか?やってみたいと分からないじゃないですか」
言い切れるよ。
「ははぁ……。確かにやってみないと分からないか!」
世界に一桁しか残ってないらしい最後のヒューマン。その一人が俺だからだ。
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