第20話 レニーさんたちといっしょ♪

「うーわ、姉貴……マジかよ」

「マジよ」


 そんなビキニアーマー姿のレニーさん。

 そしてその弟、ユカイさんの第一声は……

 他のパーティーメンバーの人たちも、同じ事を思ってるっぽかった。


(みなさん……すごい見てる)


 ちなみに他のメンバーの人たちは……

 アラサーくらいのリーダーさんが、盾役の重戦士。


「い、いや……俺はいいと思うぞ?」

「盾役としても、メンバーの防御力アップはありがたいしな」


 それから元素魔法使いのおじいさんに……


「ふぉっふぉっふぉっ いやぁ、またレニーちゃんのビキニが拝めるとは」

「長生きはするもんじゃのう、眼福眼福♡」

(ん? おじいさんって……男の人だよね?)

(男の人の魔法使いって、すごく珍しいって聞いてたけど)


 じっさいぼくも会うのは初めてだったりする。

 だからこんなお歳でも、冒険者が続けられるのかな?

 そして最後にシーフ(盗賊)の、獣人のおじさん。


「リーダに同意だ」

「神官は……パーティーの生命線だからな」


 という、5人パーティー。


(っていうか、シーフ(盗賊)のおじさん、すごくシブいのに……)

(ネコミミが生えてるんですけど)


 いやまぁ……獣人の人だって、男の人はいるしふつうに歳もとる。

 だからネコミミおじさんがいても、べつに珍しくはないんだけど……

 この世界の獣人は、イヌさんやネコさん、ウサギさんとかの人が多めで、

 そして【ケモノ度】は、耳と尻尾だけ。


(もちろんおじさんにも……しっぽ、ついてるね)


 獣人は、人族の知力と技能に加えて……

 各動物の身体的能力をもつハイブリッドなんだ♪

 いわゆる【亜人】の中でいちばん人族と親しくて、

 平均寿命はちょっと短めの40~50歳くらい。

 (ちなみに人族の平均寿命は50~60歳くらい)

 魔法はほぼ使えなくて、俊敏性を活かした攻撃が基本です。


「ま、ちょっと思うところがあってね……」

「いざという時のために用意していたのを、装備してみたのさ」

「あとジジイはジロジロ見んな」

「ふぉっふぉっふぉっ お断わりじゃ♡」


 そして紅一点の、神官のレニーさん。

 けっこうきわどいビキニのせいか、ちょっとお顔が赤いけど……

 ビシっと胸を張ってて、かっこいい♡

 おっぱいはやっぱりちいさめ? だけど…

 すらっとしてて、腰もきゅっとしまってて、やっぱりかっこいい♡


(でも……重戦士、剣士、シーフ、神官、魔法使い、かぁ)

(けっこういいバランスのパーティー?)


 というか……

 ちょっと【万物真理ステータス】で見せてもらったけど、

 レニーさん以外も、リーダーさんと魔法使いのおじいさんがレベル30越えだ。


(もしかして、街でもかなり上位のパーティーなんじゃ?)


 それに……社会奉仕とはいえ、

 ギルドがアイナママの住む村に派遣してくるパーティーだし?

 やっぱりそれなりの実力がある人たちなのかも。


「思うところって……もしかして、その少年がカンケーしてんのか?」

「ああ、そうさ」


 するとユカイさんが、ぼくを見てそういった。

 ぼくはレニーさんの隣に立って、ぺこりと頭を下げる。


「おはようございます。ぼくはクリスです」

「今日はよろしくおねがいします」

「お願いって……姉貴?」

「ああ、いま説明するよ。リーダー?」

「事後承諾で悪いけど、この子を街に連れていくよ」

「この少年を街に? そりゃあ構わないが……」

「どうせ今日と明日は休みにするつもりだったし」

「それに今日も、街に戻るだけだしな」


 パーティーによっていろいろあるけれど……

 この人たちみたいに、魔物との戦闘があった次の日とかは、

 お休みにするパーティーはけっこう多いんだ。

 やっぱり命がかかってるお仕事だからね。

 お休みと命の洗濯、だいじ!


「ああ、助かるよ」

「それでこの子なんだけど、この前ギルドに登録したばかりでね」

「奉仕依頼のノルマも兼ねて、依頼を受けてみたいんだそうだよ」

「それは感心だな」

「だろう? それでまぁ、あたしがその手ほどきをしてやろうと思ってね」

「レニーちゃんの手ほどき……エロい響きじゃのぉ♡」

「激しく同意」

「ジジイとネコオヤジは黙ってな」

「ショボンヌ」

(あ、シーフさんがへこんだ)


 するとレニーさんは、ぼくの肩に手を乗せながら……


「ゆうべと今朝、とびきり美味いパンの差し入れを頂いただろう?」

「アレを焼いたのは、この子のオフクロさんさ」

「おお、あれは美味かった!」

「街いちばんのパン屋に負けない味じゃったのう♪」

「え? 俺喰ってねぇぇぇっ!?」

「ユカイ……寝過ごしたお前が悪い」


 やっぱりアイナママのパンは絶品なんだなぁ♪

 ちなみにぼくも、今朝いただきました♡


「ふむ、なら彼を送るくらいの事、お安いご用だな」

「だろう? そしてそのオフクロさんだけど……」

「その方は【慈愛の聖女】アイナ様だよ」


 ビシッ!?


 ……っと音が聞こえそうなくらい、レニーさん以外が固まっちゃった。

 やっぱりみんな、アイナママのことは知ってるんだ?


「れ、レニー……その、アイナ様への接触は──」

「ああ、すまないね」

「あたしもそうと知らずに、アイナ様の家に押しかけちまったよ」

「えっ? 姉貴っ それ……マズくない!?」

「大丈夫さ、アイナ様から直々に引率をお願いされたからね」

「そ、そうなのか? だったら……大丈夫、か?」


 あれ?

 思ったよりみなさん驚いてるっぽい?

 ギルドのさした釘って、そんな深刻だったの!?


「え、ええと……ぼくがレニーさんにお願いしたんです」

「そうしたらレニーさん、アイナママのこと、知らずにひきうけてくれて」

「それで『おやごさんにきょかを取らなきゃ』って、ぼくのおうちに……」

「うあー、姉貴らしいというか」

「レニーちゃん、マジ姉御♡」

「同意だ。しかし、それでビキニアーマーか……レニー、本気だな」

「な、なるほど……では」

「ああ、そしてこれは、あたしが【プライベート】でやるよ」

「パーティーが関わるのは、今日の街への移動だけ」

「それも問題だっていうなら……あたしだけ別行動してもいいよ」

「ああいや、そこまでする事はないだろ」

「じゃな。そもそもアイナ様が良いといってるんじゃろ?」

「なら問題は無い、か」

「同意だ。ユカイ……お前は?」

「弟に……姉に逆らう権利なんてないんだぜ?」

「ははっ♪ よく判ってるじゃないか、ユカイ」


 そういいながら、ばしっとユカイさんの肩をたたくレニーさん。

 お、お姉さんって……そういうものなの?


「じゃあ決まりだね」

「クリス、改めてみんなに挨拶しな?」

「あ、はい♪」

「改めまして……ぼくクリスです!」

「みなさん、今日はよろしくおねがいします♪」

「ああ、よろしくな。リーダーの【ホーク】だ」

「ワシは【ゴーシュ】じゃよ。よろしくのう」

「オレは……【リゲル】だ」

「んで、俺が【ユカイ】な」

「はい、みなさんおせわになります♪」


 ああ、よかった♪

 それにみなさん、いい人みたいだし。


「ふむぅ、なんとも育ちのいい子じゃのう…しかもカワユイ♡」

「同意だ。さすがは【慈愛の聖女】様……」

「っていうか、俺もアイナ様にお会いしたかった!」

「なぁ姉貴? 美人だった!? アイナ様!」

「アンタねぇ……」

「あ、ユカイさん?」

「ん? どした、クリス?」

「きのう、レニーさんとお話ししてた女のコ」

「ああ、あのすごく可愛いか?」

「はいっ あのコ、アイナママの娘なんでソックリです♪」

「な、なんだって!? じゃあすっごい美人じゃん!?」

「い、今から行って、挨拶とかしちゃダメかな!?」

「ヤメときな、それならもうあたしが済ませたよ」

「ずっる! 姉貴ずっる!!」

「アンタねぇ……また【折る】よ?」

「さあみんな! そろそろ街へ出発しようぜ!」


 そういいながら、颯爽と歩き出すユカイさん。

 なぜか左腕を大事そうにかばいながら……


(やっぱりユカイさん、折られてたんだ……)


 ◇◆◆◇


「へぇ? クリスは剣が使えるのか~」

「あ、はい」

「いちおうスキルがついてました♪」

「なら討伐依頼もこなせる……のか? 姉貴?」

「そうだねぇ……」


 そんな事を話しながら、ぼくたちは街にむかって歩いてる。

 馬車だと2時間半くらいだけど……徒歩だと3時間以上かかるかも。

 それに途中で休憩もいれるから、たぶん4時間くらい?


(でも、こうしてお話ししながらあるくのも、楽しいかも♪)


 結局、今日と明日の2日間、

 レニーさんとユカイさんが、ぼくに付き合ってくれることになったんだ♪

 あくまでプライベートで、としてだけど……

 冒険者のきちょうな休日を使わせてしまって、ちょっともうしわけない気分。


「クリスは……どうしたい?」

「もちろん冒険者の仕事は討伐だけじゃないよ」

「ええと、他にはどういうおしごとがあるんですか?」

「まず思いつくのが、【採取】だろうね」

「薬になる草花や木の実にキノコ、あと鉱物なんかの依頼もあるよ」

「こうぶつ?」

「アイテムの材料になるような、特殊な石のことだね」

「それこそ宝石の原石とか、クリスタルなんかが高く取引されるんだ」

「ほうせき!」

「ま、それこそ探すのは難しいけどね」

「むずかしい」

「他には……街道を旅する商人や貴族なんかの【護衛依頼】」

「──は、時間が掛かるから今回はダメだねぇ」

「ですねぇ」

「となると、あとは日帰りできる程度の【輸送依頼】だね」

「ゆそういらい」

「依頼人から荷物を預かって、それを届けるんだ」

「ただ運ぶだけなら誰でもできるけど……」

「特に貴重品なんかは盗まれる危険があるからね」

「戦える冒険者は重宝されるのさ」

「なるほどー」

「これ以外にもいろいろとあるけど……ほぼ雑用になっちまうかねぇ」

「ざつよう」

「それこそドブ掃除とか、地下水路に落とした貴重品の探索とか」

「おそうじ」

「迷子のネコ捜しとか畑の手伝いまでいろいろさ」

「ねこさん」

「クリスはどんなのがやってみたいんだい?」

「ええと……」


 こう見えても、前世ではさんざん魔物を狩ったぼくだ。

 ぱっと思いつくのは魔物討伐。

 でも……


「やっぱり、人のやくにたつおしごとがしたいです」

「それこそ……ふつうの冒険者さんたちが、やりたがらないような」

「へぇ 剣のスキルがあるなら、まずは魔物討伐! かと思ったぜ」

「アンタはまさに、そういう子だったねぇ……」

「なんでしょう、お姉様のその可愛そうな子を見る目は?」

「ユカイさん、かわいそう」

「やめて! クリスまでそーゆーコトいうの!?」

「えへへ♪」

「ま、ならギルドに行ってから、依頼を物色してみるとするかねぇ」

「それでいいかい? クリス」

「はいっ ありがとうございます♪」

「あはは、いい返事だ」

「やぁん♪」


 レニーさんはぼくをぎゅって抱きしめて、いっぱいなでなでしてくれる♪

 アイナママとちがって、ちょっとワイルドな感じ? だけど……

 やっぱりレニーさんはやわらかくて、いい匂いがした♪


「あ、姉貴……」

「ん? どした? ユカイ」

「姉貴がそうやってると……その」

「はんっ どーせ『母子みたいだ』っていうんだろ?」

「いや、違くて……」

「はぁ? ならなんだい?」

「なんというか……」

「半裸の痴女が、いたいけな美少年を襲ってるみた──ギャーッ!?」

(あ、こんどは右うでが……)

「お、お姉様っ 利き腕はカンベンしてぇぇぇっ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る