スマホと無趣味な私
ラズベリーパイ
第1話
スマホ。
ソーシャル・マネージメント・フォンの略である。
大昔はスマートフォンの略になっていたらしいが、今の時代その機器自体が生産終了して骨とう品としてマニアには珍重されているらしい。
また、マニアの間では、そのスマートフォンの方を使って通話をしたりといった事をやって楽しむ人たちもいるらしい。
【趣味】を持っている人間は羨ましいものだと私は思う。
流れてくる情報で、【趣味】は大事、【個性】が必要、貴方の【適正】はといった内容は常に私の耳を通して、目を通して、流れてくる。
情報に対しての負荷や負担は一定以上ならば、本人の【やる気】や【感情の振れ幅】に影響するので推奨されるらしい。
でも不快なものを延々と聞かされるのも、見させられるのも苦痛だが、実際の所【なれて】しまっているのでそこまで苦痛ではない。
私は一度ため息をついた。
【趣味】。
好きなものに能力を苦痛なく没頭させ発展させることが出来る、特化した進化によってその波及効果による全体の進化、それが今の人類に必要だと騒がれて、世界中がそう変わって久しい。
まだ父と母の時代はこうではなかったらしいが、今はそうなっている。
私の兄は、【模型作り】の趣味が見つかりそこで【友人】などを見つけたり、【学んだり】…その関係で関係なさそうな教科も積極的に学ぶようになったらしい。
合うものに出会えればそれは意欲となり、積極性も増すのだそうだ。
因みに兄のそれは、【適正】から判断されたそうだ。
大抵【どんな趣味】に【適正】があるかが分かった後は手当たり次第にそれに触れて、好みの物を探っていくのが良い方法だとされている。
私も自分にどん な【趣味】があるのかというのを楽しみにしていた。
楽しそうなあにあ値の話達を聞いて憧れていたのだ。
そしてどれが私の才能に合っているんだろう?
今の所この診断方法…AIの活用によって行われる人間の【最適化】は、99,99999999…%の確率で最適なものを見つけられるらしい。
ごくまれに…本当に少人数当てはまらない【例外】の人間がいるそうだが、それは本当に稀有な存在だとの事だ。
そうして手あたり次第触れてみて【趣味】を手に入れると、そこから友人関係を作って行ったり、他の【趣味】の人と交流が始まる。
だがそれらをやってみたけれどどうれも私には合わなかった。
焦りばかりが募るが、【適正】があるはずなのにどれも合わない。
数多ある【趣味】の一つも私にははまらない。
やがて私は諦めて無気力になった。
この世界のどこにも私と同じ人間はおらず、孤立してしまった。
そしてそれらの【趣味】が一つも当てはまらなかった事が分かって一月後。
スマホ、を使う事になった。
このスマホというのはこれ自体が特別な機器で、特定の【人間】…カウンセラーのようなものと接触して対話をしていくらしい。
人と直接接触できるのが【家族】くらいなのが普通の現在で、こういった同じ趣味など以外の【他人】との接触は珍しい時代だから、私は少し興味がそそられると同時に、私だけが異質だと悲しい気持ちになった。
因みにどうして人になったかというと、AIで取りこぼした相手は人間出なければ見つけられないらしい。
そんな説明が私にはあった。
それで、スマホを使い話すこと、一か月.
結局【趣味】が見つからなかった私は、こういわれた。
「おめでとうございます。貴方は、【新しい趣味を創造する】可能性があります。人類の新しい可能性を引き出せる。おめでとう、【こちら側】へ」
そう、これまで会話していた人物に言われたのだった。
「おしまい」
スマホと無趣味な私 ラズベリーパイ @Al2O3
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