お人形のようにきれいな女の子が、お友達になってとささやくの

とざきとおる

お人形のようにきれいなその子

 らんらんらんらん。


 きっときょうはたのしいいちにち。


 ずっとおうちのとびらがあかなくて、さみしかったの。


 でも、きょうはひさしぶりにおひさまのしたをあるけるの。


 なんだかじめんがかたいような。まえはそんなことなかったとおもうけど。


 でもとってもたのしいわ。


 でかけるたびにいつもおそとがちがうの。だからいつもたのしいの。


 らんらんらんらん。


 うきうきすきっぷでこころもはずむ。そしてからだはぽんぽんはねて、うかんでいるときがきもちいい。


 きょうはどんなおともだちができるかな?





 おんなのこがひとり。


 こえをかけてみた。さみしそうね、いっしょにあそびましょと。


 わたしとおなじくらいなのかな。おともだちとけんかしてはぐれちゃったんだって。


 だいじょうぶよ。きっとなかなおりできるわ。あなたはいいこ。わたしとはなしてくれるこころがきれいなおんなのこ。


 さっそくおともだちがひとりできちゃった。


 なにしてあそぶ?


 なにしてあそぶ?


 おんなのこは、かばんから、まほうのこばこをだしてくれたわ。


 さいきんのこばこはすごいのね。みたままのけしきをとじこめてもちあるけるの。しかもそこに、えまでかけるなんて。


 わたしのいえはふるくさいおやしきだし、みんなおそとのことをおしえてくれないから。あたらしいことをはっけんできるのはいちばんたのしい。


 わたしもほしいな。


 ちょっとまってて、とおねがいしたら、いいよといってくれたわ。


 おうちにあるとはいっちゃったけど、ないだろうな。


 あ、あそこにすわっているひともこばこをもっているわ。


 ねえねえ、それをかしてくださらない?





「お嬢ちゃんかわいいね ……結構いいな。イケる」





 へんなことをいわれたわ。





「おじょうちゃん。お友達いる?」



 ええ。いますよ。さっきできたばかりだけど。



「なら……つれてきてもらおうかな」



 6d@)あ’y 6;kえ4bs gえwh;。・



 あら、あらら?


 6d@)あ’y 6;kえ4bs gえwh;。・


 まって、やめて。


 6d@)あ’y 6;kえ4bs gえwh;。・


 なんだかへんなかんじ。なんだかからだがふわふわして。


 あたまが、いたいいたいいたいいたいいたい。


 どうしてどうしてどうして、わたしなんで、わるいことしていないのに。やめてやめてやめて。


 そんなことされたら――わたし……。


 6smq@あ z;wgw


 ちかづいてくる。ぎらりと、まっかっかなめがひかって。わたしのおめめをみてくる。


 わたしに、なにかするの?


 5 うyq@ とq@t@――




 くすくすとわらいごえ。


 にやにやとえみがとまらない。


 わたしのとなりにめがまっかっかのおにいさん。


 もどってきたね、と、おともだちはいってくれた。


 うれしい。


 わたしをまっててくれたのね。


「あれ、となりの人……」


 まほうのこばこをかしてくれることになったの。


「qr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:wqr:w」


「なにか言ってるけど……」


 きにしないでいいの。このひとは、トテモやさシイひとよ。


 さあ、あそびましょう?





 おともだちといっぱいしゃしんをとってあそんだわ。


 さいきんのこばこはすごいのね。わたしをおばあさんにしたり、きらきらおめめにしたり、おとなにしたり、ねこみみつけたり。


 しゃしん、だったっけ。それだけでこんなにたのしいとはおもわなかったわ。


 おにいさんはぐったりとわたしたちをみまもってくれている


 たのしかった。


「あなたって、ほんとうにお人形さんみたいにかわいいね。うらやましいなぁ」


 あら、そう?


 えへへへへへ!


 そういってくれるのはうれしいな。


 そんなあなたはきっとおうちのこともきにいってくれるわ。


 おにいさん。オマタセ。


 それジャ、おうちにイキマショう?


「え7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふええ7q@ぢqふえ」




「この人。なにを言っているんだろう。ちょっとこわい」


 だいじょうぶ。


 これはおまじないよ。


 でもたしかに、あなたがぶきみにおもうのなら。やめてくれるようおねがいしようかしら。


 ね?


「3――。……。たす……」


 さあ、てをにぎりましょう。おにいさんがおうちにつれていってくれるわ。しんぱいだったらほら。


 おめめをみて。


「あれ、わたしなんか、へん……」


 だいじょうぶ。なかよくしましょ?


 さあ、おうちにつれていって? おにいさん。








 町内放送が響く。


「13歳の日照真子ちゃんが現在行方不明となっております。最後の目撃情報は同年代の女子と成人男性と一緒に公園で話をしていたところです。その他目撃情報がありましたら、警察、もしくは役所までご連絡ください。


 あの日喧嘩して別れてしまった女子が、罪悪感から町中を探していた。


 人形の館。


 はるか昔からこの街にある、世界各地から並べられた人形が多く飾られている人形博物館。


 まさかとは思いながらも、もう他に当てがない彼女はついこの館に来てしまった。


 そこで見てしまったのだ。


 真子を。


「うそ。いや違うよ。似てるだけだよ」


 多くの人形と一緒に、まるで生きた人間のように寝ている真子そっくりな人形。


「そうだよね……」


 寒気がする。






 あらら。


 もしかして、おともだちのおともだち?





 生気のない目で見られた瞬間。彼女の体が動かなくなった。


 力を振り絞って逃げようとする。


 そのとき、さっきまでねていたはずの真子そっくりな人形が、

「ドコイクノ? イッショニイヨ?」

 と彼女を掴んで離さない。


 そして向こうにいるのは成人男性の人間。人を騙して食べる妖の人形? 隣には『呪いの伝説がある人形』とかかれた説明プレートと台、そしてそこには何もなくて。


 それを見た瞬間。


 すべてがオソスギルにも関わらズ、理解シタ。




 さあ、あなたもおともだちになって。わたしといっしょにあそびましょ。

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