第40話 断罪 1

 ベイクと名乗る騎士が、部屋の扉をノックする。そして、中から返事があった。

 どうやら、部屋の主はここに居たようだな。


「誰だ!」

「私ベイクです。隊長に御客様です」

「なに?客だと…入れ」

「は、失礼します。どうぞお入り下さい。で、では私はこれで失礼致します」


 ベイクに招かれ部屋に大所帯で部屋に入ると、ベイクは部屋から出ていったが…随分と焦って出ていったな。

 さて、俺の目の前に居る国境警備隊隊長。

 ……確か、ゲルマン・ドメイル……だったか?


「やぁ、ゲルマン・ドメイル。随分久しぶりだな?」 

「誰だ!お前………は」

「おや?忘れたかな?随分と年を取った物だな?ああそれとも惚けたのか?なぁ、アルトマ・マルトル?」

「………そ、そのお姿は……ル、ルーク様ですか?」

「その姿ってなにかな?アルトマ?ゲルマンは?未だ思い出さないのか?そろそろ隠居するか?」

「……ル、ルーク様……でしたか。これは失礼を、お姿が余りにもお代わりになって要らしたので、分かりませんでしたよ。ハハハ」

「そうか?なら、それは不問にしよう」

「それは……ありがとう存じます。それで本日はどの様なご用件でしょうか?」

「ん? ……少し待て…」


 パチンと指を鳴らし遮音の結界を張る。


「ル、ルーク様今のは?」

「嫌、聞きネズミが居た様だ。少し、話しを聞かれない様にしただけだがなにかな?」

「そ、そうでしたか…これは失礼を(ちっ!要らんことをしおって!怪しまれるだろ)」

「嫌、構わんよ?ここは田舎で、何の娯楽も無いのだろうしね?」

「は、はぁ、そうですね(…糞!厄介なのが来たもんだ)」

「それで、国境の門の結界をね、強化しに来たんだがな…」

「はぁ……強化ですか?(何をする積もりだ?餓鬼めが!)」

「ああ、それはね?我マクウェル家が、いよいよ独立して公国を立ち上げる算段をつけたんだ。その為にな?国境の人の出入りを、強化するために私が四方の国境に出向いててな?ここが最後なんだよ。ゲ・ル・マ・ン・殿」

「そ、そうでしたかでしたら魔石が嵌まる場所に…」

「いや、それは構わない。こっちで場所は把握してるよ。あるのはお前のデスクの中だろ?どうやって、嵌めた物を外したのかは知らんがな?」


 胸くそ悪い!俺が外れない様に厳重に嵌めた魔石なのに。


「そ、それをどうして!」

「どうして?だと……」


 馬鹿にも程がある。

 父上の信頼を踏みにじりやがって。

 直ぐ分かるのは、魔石の在処を探索したからだ。

 こいつ…俺達がここまで来ることは、そうそう無いと踏んでいたのだろう。


 ここは一番北の環境の悪い国境だ。

 領主が、視察になど来るとは考えてもなかったんだろう。あんな物迄作りやがって!

 どうせ、リミット王国からの難民何だろうが…毛色の違う輩も混じってるし。

 さてどうしたもんか…。


「サンズ!」

「は!」

「城に戻って、この事を報告してこい。兄上か父上のどちらでも良い」

「は!では、失礼を!」


 執務室の窓から姿を消して行くサンズだ。 

 中々使える。


「さて、ゲルマン、アルトマ!この事態はどうしてなった?いつからこの国境に渡される、施設費や諸々の費用を使い込んでる?こんな、何もない場所だ自分達の懐に入れて一族に、贅沢させてるのかな?」

「つ!」 

「………」

「おや?二人とも黙りか?なら、外の村は?何時からある?確か5年前には、あれは無かったよな?」


 サンズが出ていった窓から見える、村を眺め隊長と副隊長に訳を聞かせろと圧を掛けて睨み付ける。


「あ、あれは隣国の難民達が個々に流れてまして。か、勝手に村を作ってしまい……」

「ほぅ……勝手にね?なら、父上に報告はしてるのか?取り締まれば、村なんて出来ないよな?」

「そ、それは…こんな何もない国境の事等、お耳に入れる迄もなく。取り締まりも……」

「ふぅ~ん。勝手にね?どう思う?マシュー?」

「そうですね……俺が言うのもなんですが…。相当甘い汁をすすっていたのでは?取り締まるなんてしないですよ。でもねぇ……ルーク様…、大人ってイヤらしいですね?」

「……だよなぁ?」

「くっ!」





 ̄ ̄ ̄ ̄


この話しは長くなりそう……。

お付き合い下さる方……飽きずに……ええっと……。

とにかくすみません。


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