第39話 南の国境の異変。
ルークには穏やかな日々は続かない。
父と兄と三人で、落ち着いた話しをした日から一ヶ月の怒涛の日々が過ぎていた。
そんなある日…。
隣国との国境に設けた壁を見て回り、国境の門には結界石入れ替えの作業をする事に決まったのだが…。
国境の門は東西南北4箇所に門がある。
その4ヶ所に赴くのだが、国境にも兵士が多いので小さな村が出来てるらしい。
その、村の回りの状況を見ながら作業を行うのだ。
その視察兼、作業に連れて行く影に追加の護衛のオルタ達三人も付いて来てるので、大変な大所帯になってしまって、影とご護衛たちとの小競り合いが中々に鬱陶しい。
挙げ句に、ナルスが目に入る物が珍しいと言い出して勝手に何処かに行ってしまう始末。
逆にイールは、少しずつ大人しく成ってくれた様で、俺の言うことを聞いてくれるように為った。
後はナルスの事だが…俺は知らん。
ウオルに丸投げした面倒だしな。
じゃないと俺の身が持たん。
そして、4箇所目の南の国境で問題が起きた。
「ウオル、あれはなんだ?」
「むっ?なんだナルスまたお前…」
「あれだぞ、あれは集落か?」
「おい!主」
「んぁ~なんだ?ウオル」
「あれだ、主あそこは集落に、なってるぞ?」
ん~なんでかね?あそこはなにもない国境のはずだよな?4箇所目の国境は確か…村を作るという連絡は入ってないし、報告も受けてない。
彼処は兵士だけを詰めているだけで、村はない筈だよな?だから建物も詰め所と兵舎だけの筈。それに、壁を作り直してるから、結構な地震があった筈だし…。
おかしいよな?
「皆ちょっと急ぐぞ!」
急ぐと、言って飛ぶ速さを早めて門に下り立つ。
すると俺に気づいた騎士が怪しげに俺に声をかけてきた。
「おい!貴様ら何処から来た!」
「空からだがなにか?」
「そ、空からだと!嘘を言うな。怪しい奴め」
「ああ、そう言うのいいから。ほら、身分証と領主な家紋入りの剣だ!確認しろ」
「はぁ?ど、どれ貸してみろ」
「ほら」
「…………………………………ひぃ!こ、これはし、失礼しました!」
五月蝿い!
「あ、あの……確認致しますが、ルーク様でよろしいでしょうか?」
「あ?俺の顔を知らないのか?お前、何処の所属だ?」
「ご、ご無礼しました!お、お許し下さい!」
許して下さいと、腰を折って謝ってくる騎士…ウザイ。
「ふん!まぁいい。だが、次は無いぞ?」
「は、はい!ありがとうございます。そ、それで、こちらの国境になにかご用でしょうか?」
「あ? なんで俺が門番に説明しないと為らんのだ?」
「い、いえ、こんな遠くまでいらしたのは…」
「良いから通せ!それからここの責任者を呼べ!」
《なんで》を繰り返されてイラっとする。
こいつなんか焦ってるよな?
そりゃ当たり前か…ない筈の村が出来てるんだしな。
「はっ!どうぞ此方へ、部屋に御案内致します!」
「早くしろ」
「は!ではこちらへ」
騎士の後ろを付いて、詰所の中を案内されて歩くが……何だか建物事態がボロい?
なんでかな?
修繕費は回してるはずだよな?
ん?
「おい、お前!名は、何と言う?」
「は、私ですか?」
「お前に聞いてるんだがな?」
「し、失礼しました。自分はベイクと言います」
「そうか…なら、ベイク」
「は、はいなんでしょうか?ルーク様」
「何でこの施設はボロい?」
「は!隊長が申すには、修繕費が届かないとか?何とか……申して居りましたが?」
「そうか、つい最近地震があったろ?」
「ええ、ありました!あれには驚きました!でもなんか壁が崩れた!と思ったら直ぐに崩れた場所から少し広がって壁が出来たのには、村の皆で驚いたんす!」
と訳のわからない説明をされたが…。
「で?被害は?」
「さあ?特に、建物も古いですからねぇ……」
「直さないのか?」
と、聞いて見たが…私に詳しい事は分かりませんが。
と、答えが返ってきた…これは完璧に何処かに流れてるよな?馬鹿でも分かる。
「おい、ルークよ?」
「なんだ?オルタ」
「我らは行かなくも良いのでは?」
「嫌、今回は居てくれ。影達も護衛で居るからね、その方が良さそうだ」
(イール…)
『ピィ~なに?ご主人』
(大人しくな?)
『ピィ~わかった』
(フフフ良い子だ)
肩に乗るイールの頭を撫でて誉める。
「ルーク様、こちらです。ですが、少しお待ち下さい」
ベイクと名乗った騎士が、執務室の扉をノックする。
そして中に居る者からの返事を待つ。
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