第34話 壁を

「それで、領地を囲む壁はいつ造れば?」

「囲む場所辺には、人が住む集落が無いと報告が来てるからね。すぐにでも良いぞ」

「そうですか、なら………」


 マップの赤線を指でなぞって、地図上で魔法を展開発動。

(壁作成………クリエイト)

 これで……なんとかなったかな?


「父上これで、壁が………」


 すると突然地面が揺れ出して、数秒で止まった。

 揺れは大した事はなさそうだ。


「な、なんだ?今の揺れは」

「それは…私が、この領地の周りに壁を作った所為ですね……多分」

「はっ?壁を……何処に」

「この領地の周りにですよ。後は、国境の門をどうするかですね?」

「「……………」」

「な、なんだと!ルークそれは誠なのか?」

「ですね」

「ルーお前。お前の魔法は、どうなってるんだ」

「アハハ!そうですね?どうなってるのでしょうか」


「笑って誤魔化すなよ?ルー」

「と言われても……私もなんで出来るのかは……」


 分からないと誤魔化して話しを変える事に……したい。


「そ、そう言えば……父上?」

「何だ、お前誤魔化そうとしてるだろ?」

「そ、そんなことはないですよ?それよりは大事な事が有るのでは」

「何かあったか?」

「ありますよ!ほら、あの国に置いてきた屋敷、幽霊屋敷をどうするのですか?当初の予定通り壊すのですか?」


「ふむ……あの屋敷か……そうだなぁ……」

「父上、あの屋敷といいましょうか、土地ですが……もう価値は無いのでは?」

「そうだなぁ……クーデターが起きて仕舞っては、価値も無いな。さて、どうするか……」

「あの場所には、結界を張り巡らせてありますからね。滅多な事では、屋敷の中には誰も入る事は出来ませんよ?まぁ、あの貴族街に有った他の屋敷はもう殆んど、誰も残っていないでしょうし。屋敷も壊されてるでしょうが」

「ふむ…うちの屋敷だけが、綺麗に残ってるのも不自然か?」

「まぁ、そうでしょうね?」

「なら、屋敷は壊しても良いか。なぁ、息子達よ?」

「そうでしょうね」

「それが良いと思いますよ?」

「はぁ、なら済まんがな?お前達二人で、屋敷を壊して来てくれ。屋敷は木っ端微塵にしておいてくれ」

「分かりました……なら、行ってきますか」

「ルー今からか?」

「ええ、仕事は早い方がいい気がしますから」

「で、あれば…影を数人連れて行こう」

「影ですか?そう言えば兄上、影達をありがとうございました」

「何だ今更だな? 別に構わないぞ?」

「そうですか? なら、後でお礼をしないとですね?」


 なにを渡そうか……ふむ…あ!あれがいいかな。


「なんだ、土産でもあるのか?」

「ええ、とびきりのがね?フフフ」

「お前また、俺を驚かそうと、してないか」

「してませんよ、フフフ」

「仕方ないな、なら楽しみにしていようか?」

「ええ、父上と私と揃いですよ?」

「………そうか、なら、いいかな?フフフ。なら、行こうか影は誰を」

「兄上は?」

「私は隊長とサブだな。お前は?」

「俺ですか、なら………」


 …誰にしようか?


 よし!珍しく、メンサスとトレバンにするかな?

 あの二人とは余り一緒に仕事をした事がないからな。


「メンサスとトレバンを連れて行きます」

「そうか…なら、一時間後にお前の屋敷のエントランスで良いか」

「ええ、構いませんよ」

「では、後で。父上話しは終わりました、戻りますか?」

「あぁ、そうだな。戻るか……ルーク?」

「なんですか?」

「済まんな」

「えっ、何がですか」

「い、いや。なんでも、ないよ」

「そうですか?あ!帰ったら兄上にも伝えましたがお土産があるので、渡しますね」

「……あぁ、楽しみしてるよ。ではなルー」

「ええ、後で」


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