第20話 お寝坊ライン。

 エルクに呼び戻されたルークは、一度城まで戻り急ぎエルクにメッセージを送る。


(メッセージ!兄上、今何処ですか?)

(今はリビングだよ。早くこい!)

(……了解)


 だだっ広い城の中を、浮遊魔法で少しだけ浮かび歩くより早い速度で廊下を進む。

 これ…楽だけど……セグエイの方が楽かな?

 下らない事を考えて城の廊下を進みリビングの中に入る。


「お待たせしました、エルク兄上……」

「ルーク!テメーお前俺を置き去りにしやがって!」

「あぁ、ラインさん。すみませんね、出発の時間"ギリギリ迄は"待ってたのですが!中々……屋敷においでにならないので、置いて行きましたが。なにか?」

「待って……何で俺が顔を出すまで待たない?」

「……連れていけと言われて、此方が連れて行くのに、なにその態度?連れて行って欲しいなら、早めに起きて俺の邸に来るのが!普通じゃない?どうせ朝は寝過ごしたんだろ?」

「……うっ!」


 図星じゃんかよ。

 自分が悪い癖に人を怒鳴りやがって!


「だ、だが確認くらいしろよ!」

「いやぁ~ラインさん、俺は暇では無いんだよ。自分の事は自分で出きるなら、そこら辺はしっかりして欲しい。俺はお前の使用人じゃないのでな」

「ぶっ!ククク」


 おや?誰が笑ったの?

 不思議に思って部屋を見れば、……エルク兄上にカミル従兄様でしたか。で、笑ったのは……カミル従兄様でしたか。

 その笑った人物が誰だか分かったのか直ぐにラインが反応する。


「カミル兄上!笑うな!」

「ククク。だからライン!さっきから言ってるでしょ?自業自得だと、自分が悪いのに何故人を攻めるのだい。ルークの言っている通りだとは思わないのかな?」

「だ、だがこいつはいつも俺を置いて行って、俺との約束を守らない!」


 ………なに言ってんの?こいつ。


 俺はこいつの従弟ではあるが、……ダチではないのだがな?

 年に一、ニ度顔を会わせる位の中。

 なのに馴れ馴れしくしてくる。


「なにを、甘えた事を言ってる?ライン。約束の時間を毎回守らないのはお前だろ」

「だ、だけど!カミル兄上」

「はぁ~お前、今日何時に起きた?」

「は?な、なに突然」

「何時に起きた?ルークとの約束の時間は、確か……時間は5時だったね?」

「ええ、そうです。ですからそれより少し前に、屋敷へ来てくれば私達は居ましたよ?」

「で、ラインお前は何時に起きんだ?」

「………っ!わ、分かったよ、行かない!行かなければ良いんだろ?全くどいつもこいつも、ルークの味方ばかりしやがって!くそ!」


 その言葉を残してラインは、リビングから出ていった。

 あらら~行っちゃったよ。大方さっき迄惰眠を貪ってたのかな?

 フフフ、ばつが悪くて逃げたな。


「カミル従兄上……あれは?」

「ま、まぁ、ばつが悪くて逃げたのでは?執事から聞いたが……。昼前にやっと起き出してきて、ルークが居ないと騒いだそうだよ」


 当たりだった……。馬鹿過ぎだろ!


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