第10話 何でも出来る為らば!

「で?どうするのですか?伯父上。私がラインを、連れて行っても良いのでしょうか?」

「………」

「おい!俺は物じゃ無いぞルーク失礼だ。ってか、行くぞ俺は。父上、俺はここに居ても退屈なんだ良いだろ?」

「だ、だが……お前」

「父上?ラインは、国の騎士隊に所属していたのですから。そんなに心配為さらなくても?」


 あっ!これは面倒な事に為ってきた、俺はソロソロ屋敷に戻りたい!


「はぁ~あの?私は屋敷に戻りますがいいですか?後は、皆さんで決めて下さい。明日、早朝にはここを出ますので。ライン!一緒に来る気があるなら、日の出ぐらいには屋敷にこいよ?では、私はこれで失礼します。アレク行くぞ」

「承知しました」


 ソファーから立ち上がって、部屋を出ていこうとしたら声が掛かる。


「ま、待てルーク。わ、分かった!ラインを頼む」


 伯父が頼んで来るのでニッコリ笑って譲歩する。


「分かりました。護衛が居ないと不安でしょうから、一人影を荷物持ちとして、連れていくのはどうですか?それなら、ラインが飛べなくても何とか成りそうです」

「おお!そうかその手があったな。ライン、それなら行くと良いぞ」

「ったく、父上は心配し過ぎだ!なら影を連れてくぜ?ルーク宜しくな?だが…朝早いのは得意じゃない。もう少し遅い………」

「なら、連れていかない。俺の謂う事を聞かないなら知らん。旅に我儘なやつが居れば支障が出る」

「んだと!俺がお前より年上なんだよ!俺の言うことを聞けよ」

「伯父上。今回は申し訳無いが、お断りします」

「なんでだ?ラインの方が年は上なのだからそれで……」

「それでは、謂わせて貰いますが。ラインの世間知らずに付き合えば、私達は旅が出来ない。どうせ自分の事も、碌に何も出来ないのでしょ?」


 連れていけば見える!先の事が……。

 疲れた、腹へった、俺は嫌だ!俺が年上なんだぞ!なんで?の連発だろうからな。


「そ、それはルークも一緒だろ?」

「義兄上、なにを言うのですか?ルークは一人で何でも出来ますよ?それこそ人の手など借りずにね。幼い頃より何でも独りでこなして、私達親には全く手を出せなかった。寧ろこちらが、ごり押しして手を出したくらいですよ?」

「そ、そうか……ならライン。ルークの言う事は絶対に聞けよ?」

「嫌だ!俺がルークより何でも知ってて出来る!」


 ほぅ…………。


「何でもですか?それなら私は絶対に、そんな奴と一緒には行けない。お断りだ!伯父上申し訳ない無理です。連れて行くなら、まだカミル従兄様の方がましですよ」

「ルーク失礼ですよ!ククク。ですが連れて行って下さいね?言うことを聞かないなら、多少手荒にしても構いませんよ?今後の為になります」


 ニッコリ笑って結構酷いね?カミル従兄様?


「はぁ~でしたら、明日の朝5時に俺の屋敷に来てください。良いですか?時間は守って頂きますよ?それでは私はこれで失礼します。行くぞ」

「は!」


 立ち上がって、部屋を出ていこうとする。


「ルーク待て」

「なんですか?ライン」

「お前………絶対に、俺の方が何でも出来るって証明してやるからな」

「あっ!そうですか?なら明日は冒険者ギルドに向かいます。ギルドで登録してくださいね?金も要りますから御用意下さい。あと、旅費に食料、その他もろもろは、ご自分用に必ず御用意してくださいね?俺は一切、ラインに手助けしませんから。何でも出来るなら、お一人でどうぞ?では、明日お休みなさい」


 ふん!何でも出来るなら。一人で、何処でも行って金を稼げよ。俺は知らん。

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