第3話 箱入りライン。

 兄上の影達に訓練を任せ、俺達が城に戻ってくるとラインに城の廊下で捕まった。


「よう!エルク兄さんにルークか。何してたんだ?」

「なにもしてないよ、ラインこそどうした?」

「あ………嫌ぁなんて言うのか……暇でな」

「暇?」

「ああ、暇なんだよ。やること無くてな」

「そうなの?連れて来た部隊の訓練は?」

「ああ、それな……父上がほら、例の鼠狩りに躍起に成ってるから、自由に使えねぇ~」

「なら、カミルは?」

「兄上は自分の部屋に籠ってるぞ?鍵が掛かってて、暫く姿を見ないぜ?」

「はぁ、それで良いの?」

「ああ、兄上は籠ると出てこないからな。まっ、中で死んでるかも知れないけどな。ケケケッ」


 こ、怖い………。


「お前達は、それで良いのか?」

「良いんだよ。下手に声を掛けて、兄上のご機嫌が悪くなったら、そっちの方が恐ぇよ。エルク兄さん」

「そうか、なら……俺と出掛けるか?ライン」

「お!それ良いねぇ!冒険者ギルド行ってみたい」

「それは……不味い気がする」


 前に念を押されて止められたからね。


「ええ、何でよ!」

「カミル従兄様に怒られそうだ」


 角を出して怒りそうだよ?あの人。


「だな、ラインそれは駄目だ。ルークと城下に出るなら………町を視察してくるか?護衛は、ルークの従者がするだろからな」


 何かそれは……不味い気がするのは俺だけかな?


「チッ。仕方ない、ならそれで良いから行こうぜ?ルーク」

「兄上、良いんですかね?」

「と、聞かれても……なぁ。言った手前、良いのかも知れないが。ルーク何故言い出した?」

「いや、単に……」

「単に?」

「思い付いたから?………アハハ」

「はぁ~。お前思い付いたでは、ないだろ?カミルに了解を得ないと後が恐いぞ?何せラインは爆弾だそ?」

「エルク兄さん、それ酷い。俺がまるで、問題児みたいではないですか」

「問題児だろ?実際あの妹同様に」

「ひでぇ~!あれと一緒にされてる」


 ああ、これはラインは連れ出せないな?

 全く箱入り息子だね?


「なら………遊戯室で時間を潰すか?ライン」

「遊戯室でかぁ……あそこは無理だな」

「なんで?」

「頭を使うと眠くなる!」


 と威張るが…なんだそれ。子供か!(笑)


「そ、そうか。なら仕方ないな、部屋に戻って寝てろ」

「なら、ルーク私と遊戯室に行くかい?」

「ええ、いいですね兄上。じゃ!ラインまたな?」


 面倒な坊っちゃんは、放っておいて兄上と少し遊ぶかな?


「ひ、ひでぇ~。ルークも、エルク兄さんも酷いぃ~」


 城の廊下で大声で酷いとラインが叫ぶ。

 声が響くんだよ?知らないのかライン。

 そのラインの大声で、今まで大人しく俺の肩に乗っていたイールが騒ぎ出す。


『ピィ~煩い!ご主人お腹すいた!』

「ラインが騒ぐから、イールが騒ぎ出したじゃないか!静かにイール。飯だな?なら、出すから待ってろ」

『ピィ~ごはん』


「兄上すみません、少し待ってて下さい。遊戯室で待ち合わせしましょう」

「わかった。ラインお前は、部屋に戻るか何処かに行けよ?なんなら、お前の母上にでも相手して貰えよ?」

「ほぅ………母上か………分かった。ならそうする。エルク兄さん、またな」


 そういってラインは、自分の屋敷へ戻って行った。


「一体何だったのでしょうか?兄上」

「ま、ラインだしな?分からんよ、私に聞くな」

「ハハハそうでした。なら少しお待ち下さい。イール置いて来ますから」

「分かった。では、後でな?何なら従者連れてきて来ても良いぞ、あ奴らも暇だろ?」

「分かりました。声を掛けてみますよ」


 そして、イールと自分の屋敷へ戻り、イールに食事を与える為に食堂へ向かった。



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