閑話 ローズマリアと母リエル。 1

 それから、日を開けずに母リエルはメイドを一人連れてローズの部屋を訪れた。


「ローズ?メイドを連れてきたわよ。この子に何でも言いなさいな。ほら、お入りなさい!」

「まぁ、お母様ありがとう」

「ほら、挨拶なさいな!全く愚図ね!」

「お、奥様?わ、私は……」

「いいから!挨拶なさい!分からないのかしら?」

「い、いえ……初めまして私は、此方でお世話になっております。サリーと申します」


「そう?サリーと言うの?宜しく。早速だけれどお茶を入れて頂戴な?それが終わったら、湯浴みをしたいから用意して頂戴!」

「は、はい。畏まりました」


 お母様……執事ではなく、メイドを連れて来てくれたのね?良かったわ。


「お母様、ありがとうございます。これで私の苦労が無くなりますわ。フフフ」

「そう?なら良かったわ」

「でも、私の知らないメイドなんて居たのですわね?何処から連れて来たのですか」

「あぁ、あの子は。ルークのメイドなのよ?丁度ローズの年と、近かったから連れてきたのよ」


 話し相手に丁度良いでしょ?

 と、お母様が仰います。

 ですけれど………お兄様!それもルーお兄様のメイドですって!

 なに?なら、お兄様のお世話をしてるのかしら?

 許せないわ!私なんて側に行くと、冷たくされて軽くあしらわれる事が多いのに!

 メイドですって!執事のグレンも、お兄様にベッタリといつも一緒にいて、腹立たしいのに!お兄様付のメイド…………。


「お母様?」

「あら?何かしらローズ?」

「あのメイドは、私の専属ですの?」

「違うわよ?ルークのメイドですからね。ローズ付きとは、いかないわよ?」

「なら、時間で区切るのですか?」

「あら、それは考えて無かったわねぇ~?(どうしょうかしら?ルークには黙って、連れてきてるしねぇ~。ローズの言う通り、時間で区切りましょうかしら?)」


「未だ決まって無いのでしたら私、夕刻の時間からあこ子を、お借りしたいわ?それと、早く私に専属のメイドを、連れてきて下さいませ?お母様…駄目ですの?」


 早く専属メイドを用意して下さいませ?

 全く支度もちゃんと出来ないし、もしルーお兄様にお会いした時に、みっともない格好は出来ませんもの。

 あぁ、ルーお兄様にお会いしたいわ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る