第109話 駄々っ子ですか?

 望遠鏡でセイの行動を追うと、セイが兄上に近づいて行く。

 どうやら兄に俺のメッセージが伝わったのか…………直ぐに返事が来る。


(メッセージ、ルーク?)

(え?あ、はい。兄上?)

(伝言は聞いたが……そこに居ろよ?直ぐに鍵を受けとるから)

(ですが……)


 顔を見たくないんだよなぁ~。


(まぁ、直ぐに行くから!顔を合わせなくても、良い様にして向かうから、そこで待ってろ。全く、駄々っ子見たいにごねるなよ?)

(むぅ…。分かりました………)


 駄々っ子ね…………子供か!


 兄の一言で、仕方なくふて腐れながら、父上一行を待つが案の定煩く騒ぐ人物がいた!

 ……一行を待ちそれが近付いて来ると聞こえる。

 ……ほら、やっぱり騒ぐじゃないかよ!こっちに迄聞こえるぞ!

 誰だっけ?任せろと宣ったのはさっ!


「お待ちしてましたよ?エルク兄上?それと父上。それにしてもエルク兄上?」

「なんだ?」

「お早い蜻蛉返りですね?それにあれ!騒がせない約束でしたよね?」


 兄と父の後ろで、なにやらギャァギャァと騒ぐ声がするんだよ。煩い!遮音結界張るか?


「ハハハ、まぁ、良いじゃないか?ほら鍵を渡してくれ預かるから」


 預かるからと、言って手を出すエルク兄上に………ならと文句を言いつつ、注意点を告げて渡す。


「全く、兄上は!なら……はい鍵です。スペアを入れて3本です。管理はきちんとしてくださいよ?」

「あぁ、大丈夫だよ?失くしてもほら、中に入る者が………あれだしね?フフフ」


こ、怖…………兄上怖いですよ?フフフ。


「………兄上。怖いですからそれ!洒落にならない。父上!父上も、鍵は失くさない様に管理してくださいね?」

「ん?大丈夫だぞ?私は、何せほら、優秀な執事がいるかなら。ハハハ!」


 なに呑気な事を………。

 まぁ、でもフォルクスが居ればなんとか成るのか?


「では、私はこれで屋敷に帰ります。後で話しましょう?」

「分かった!それなら夕食を一緒にするか?」

「分かりました。新しい方の屋敷に居ますので、お呼びください。料理長と話してますよ。では、失礼します。セバ!帰るぞ」

「承知」


 セバスと一緒に、転移で屋敷に戻った。


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