第104話 先を越されて怒られない。シュンです。

「兄上これを、容量が大きいので使ってください。カミル兄様は?要りますか?」

「私はまだ大丈夫だよ?先々借りると思うけど……ね?」

「では、後……ほらお前達も居るだろ?」


 鞄を数種出してフォルクスに手渡す。


「フォルクス、ルイス。鞄を渡すから、お前達で振り分けて使ってくれよ?だが、必ずこれらは返却してくれよ?ちゃんと管理してくれ!」

「「畏まりました」」


(メッセージ!セバ!)

(はい?如何しましたか?)

(本邸のサロンにGO!)

(はぁ?GO?)

(急いで来い!だよ)

(はぁ~分かりました。伺います)


「ああ、後は……お馬鹿達の建物ですが……」

「なんだ?ルーク良い案があるのか?」

「ええ、とっても良い案ですよ?フフフ」


 図面の場所まで戻り、指をさしながら母達の一時的な監禁場所を作る提案をする。


「ここに、平屋の家を建てますね?ここに、押し込みましょうか?」


 にっこり笑って、ゆくゆくは牢屋を造るつもりの場所を指さした。


「ルーク……お前……怖ぇ~!」

「え?優しくないですかね?衣食住は渡しますよ?ねぇ父上?」

「ああ、そうだな?(ルーク!私に、振るなよ?私の妻なんだぞ!未だ)」


 すると、大人しかった母が急に騒ぎ出した。


「ルーク!私をバカにしたわね?」

「はぁ?バカにしたのは、母上では?先に私をバカにしておいて、何甘いことを言ってますかね?寝言は寝てから言って下さいよ?俺はやられたら倍返しするんです!それを分かっていて、やったのでしょ?分からなかったとは、言わせませんよ?それに、一言相談するって出来ませんでしたかね?少し、頭を働かせたら分かる事でしたけどね?フフフ」

「貴方!助けて!ルークが怖いわ!」

「すまんな、リエル。私ではもう無理だ…。お前勝手にし過ぎだ!ルークの言う通り、相談して欲しかったよ(息子とはいえ、ルークには沢山の恩があるのだ。ルークを怒らせるなんて……愚策だ)」

「………」

「さて?ルーク。先に、馬鹿達の建物を造って仕舞うか?」


 おお!兄上!貴方もご立腹ですか?

 ですが……何故?


「ええ、エルク兄上、そうしますかね?なら、セバが来てから移動しますか」

「セバ呼んだのか?」

「ええ。呼ばないと、後が恐い!ハハハ!」

「なら、ルイス。お前はここで、フォルクスをフォローしてくれ?」

「は!畏まりました」

「父上先に建てて来ますね?そして?今日はお開きにしましょうか?引っ越しの準備は使用人達に任せましょう!」

「あっ、後母の処分?というか……今晩はどうするのですか?」

「い、嫌よ処分なんて言わないで!私は貴方達の母なのよ?」

「………今更、母親でもないでしょ?好き勝手しておいて?何が母だ!ルークには並々ならぬ恩があるのに、なぜ毎回ルークだけに突っ掛かるのですかね…貴女は。それも、人の神経を逆撫でする程の事を毎回毎回。楽しんで遊んで居るなら、やめて貰いたい。見ている此方が腹が立つ!」

「…………そ、それは……」


 おお!エルク兄上ご立腹ですか?

 てか、俺が怒れない……シュン。

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