第100話 暴走の代償 

「良かった!サリー、傷が治ったろ?痛かったな?ごめんな。知らなかったとはいえ、酷くされたな?大方……俺のメイドたって言うだけで、嫉妬でもされたか?」


 すると、サリーは目を見開いて驚く。

 そして、大きな瞳から涙が溢れ出した。


「母上?これが使用人を、大切に出来ない者のやり方ですが?これは………どうしますか?」

「こ、こんなに酷いことをするの?あの娘は!私は良かれと思って……サリーご免なさいね?知らなかったのよ……」

「奥さま………」


 サリーが母を見ると、俺にしがみつき顔を隠す。


「サリーほら、ハンカチだよ、涙拭きなさい」


 しがみついて、離れないサリーを引き離してハンカチを渡した。


「ルークさま、ありがとうございます。私、怖くて母さまと!お暇を貰おうとしてて。お嬢様の、所に行きたくなくて……」


 サリーは更に、ポロポロと大きな瞳から涙をこぼして俺達に怖かったと訴える。

 完璧にパワハラだ!くっそあの餓鬼!


「大丈夫だよ?サリー、辞めるなんて言わないでくれよ?知ってるかい?俺、新しい屋敷を建てたんだよ?そこでメイドが足りないんだよ?サリーは、俺の専属メイドだろ?な?」

「ルークさまぁ~!私は、ルーク様の専属のメイドで御座いますよね?ルーク様が、私に辞めろと言うまでは、ここにいても良いですか?」

「ああ、頼むよ?サリー」


 サリーに、なにを吹き込んだ?

 母か?じゃないか…妹の方か………?


「はい!」

「なら、新しい屋敷を案内するけど少し待っててくれよ?」

「はい……」

「サリー、こちらへいらっしゃい?」

「はい」


 サリーが、返事をしてフォルクスの側に行くとフォルクスがサリーを座わらせる。

 グッジョブ、フォルクス!お前、後で褒美やるからな!


「さて、父上?どうしますかね?私の使用人を勝手に動かして、怪我までさせて?ねぇ母上?」


 今回は、絶対に許しませんよ?


「それは………ルーク。済まない、私はもう分からんよ!リエル!お前、暫く実家に帰ってくれ。こうも勝手をされると、私もお前を庇いきれない。これからが、大事な時期なのだぞ!何をしてくれたのだ。お前達母娘は!」

「貴方、私は関係ないわ?怪我をさせたのはあの娘ですよ?」

「関係なくはないですよ、母上?ルーのメイドなんて、ローズが嫉妬するのは当たり前じゃないですか?ましてや、先日ルーから他人扱いをされたばかりだ!あのバカが、嫉妬しない訳がない!それを……考えもしないで、ルーのメイドを勝手に使って、バカの面倒を見させるなんて!(浅はか過ぎる………まったく、従兄弟達のいる前で恥ずかしい!情けない……)」


 ですよ?母上、貴女も好き勝手し過ぎですよ?

 普段偉そうに、しているのに何故一本ネジが足りないのか?不思議だ………?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る