閑話 ローズマリアとサクロス

§サクロス編§


 サクロスは、身体と心の不調が出るも、ローズとメイドからの嫌がらせを辛抱して使えていた。

 そんなある日。

 ローズが気まぐれに、サクロスにお茶を出せと言いだしたので、言われた通りにローズマリアにお茶を出した。

 すると、こんなものは飲めないと言われてテーブルに乗るティーカップを、手で払われてカップが床に落ち「ガシャン」と大きな音がして割れて仕舞った。

 そして、メイトがカップが割れる音を聞いてその場に駆け付けて来ると、何も知らないメイドはサクロスを叱り付けた。


「なにをしてるの?貴方!お嬢様が怪我でもしたらどうしますか!」

「で、ですが………。申し訳ございません」


 とサクロスがメイドに詫びる。


「貴方誰に謝ってるの?私よりお嬢様に誤りなさいな!」

「良いのよマルレイ、大丈夫よ。さぁ、お茶を入れ直してくれない?あぁ、お前のではなく、マルレイ?お願いね。お前ははこれを片付けるのよ!」

「畏まりました………」

「全く、使えない!獣人が入れた物なんて、飲める訳がないわ」


 獣人が入れた物など、飲めないと言って笑われたのだ。

 挙げ句の果てには、側に寄るなと言われる。


 そして、サクロスはとうとうフォルクスにローズマリアからの、自分への差別的な言葉と行動に堪えきれないと訴え出た。


「フォルクス様、ここにいらしたのですか?探しました………」

「どうしましたか?サクロス。貴方、暫く見かけませんでしたが、ずいぶんと顔色が悪いですね?そんなことでは、ローズマリア様にお仕え出来ませんよ?一体どうしましたか?」

「フォルクス様、私はもうお嬢様の……。執事など出来ません。あのお嬢様とメイドの側に行きたくは無いです」

「サクロス!何故そんなことを言うのですか!」


 訳を知らないフォルクスは、サクロスの目を見てサクロスから話しを聞く。


「どうか私を、里に返して下さい。もう、あのお嬢様の私への無体には、堪えられない…。どうか、どうか……お願いです」


 サクロスが、涙ながらに訴えフォルクスに暇をと言い出した。


(あぁ、やはりこうなりましたか……。旦那様からは、ローズマリア様を見張る様にと、影に通達があり。私にも注意をと、言われて様子を見てましたが。サクロス……気の毒に。サクロス申し訳ありませんでしたね)

 と、フォルクスは心でサクロスに詫びる。


「分かりました。サクロス貴方をお嬢様の執事から、外す様に旦那様にお話をしましょう。貴方は何も悪くは無いですよ?暫く静養してお待ちなさい。悪くはしませんよ」

「で、ですが……」

「まぁ、お待ちなさい。サクロス」


 そしてこの後、フォルクスが当主のガウルとエルク、カミルの3人にローズの話を相談すると最後には、エルクからルークに伝わったのだった。

 

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