閑話 ローズマリアとサクロス
時間を少し遡り、ローズマリアと執事の話をしょう。
§ローズ編§
ローズマリアに執事が付く、と両親に聞かされた。
その人物は、獣人の男だと聞きローズマリアは最初に渋ったものの、メイドの事を考えて執事が自分に付くのを了承した筈だった。
そう、筈だったのだが…………。
いざ、その執事を迎えるが……執事の姿を見たローズは唖然とする。
執事の姿は、身なりはきちっとしているが…狼の獣人で頭に耳があり、目が鋭く上背が高くそして威圧感があった。
その姿を見た、ローズマリアは兄達と違う!怖い、汚ならしいと判断してしまった。
男兄弟の末の娘として育ち、末っ子で甘やかされ我が儘を言えば、すんなり意見が通って来たので。
今回も自分の我が儘を通せばそれで済む、と思い好き放題に行動した。
「失礼いたします。本日からローズマリア様のお世話を、させます執事のサクロスです。さ!サクロスお嬢様にご挨拶を」
すると、サクロスがフォルクスより一歩前に出てローズマリアに挨拶をする。
「ローズマリアお嬢様。本日より宜しくお願い致します。わからない事が多いので、色々と教えて頂けます様、宜しくお願い致します」
と言って、深々と頭を下げてローズマリアに挨拶をした。
するとローズマリアは、サクロスといった執事に向かって一言だけ声を掛けてそれきり黙る。
「ええ宜しく………」
それを見た、フォルクスはローズマリアの態度を訝しむが………様子を見ることにする。
「それでは、お嬢様私は此で失礼を。後を頼みましたよ?サクロス」
「はい!フォルクス様」
そう言うとサクロスは、フォルクスに頭を下げてローズマリアの部屋を出ていくのを見送り、ローズマリアに声を掛けた。
「ローズマリアお嬢様?」
「………なにかしら?」
「? い、いえ、私はどうしたら?」
「そんな事も、わからないのかしら?これだから獣人なんて……」
ぶつぶつと、サクロスに向かって初対面にも関わらずに冷たくあしらう。
「も、申し訳有りません。でしたら、私は此で何かございましたらお呼び下さいませ」
頭を下げて、部屋を出ようと扉に向かい歩くと
ローズマリアから声が掛かる。
「あら?誰が出ていいと言ったの?気を聞かせてお茶くらい、お出しなさいな?そんな事もできないのかしら?マルレイお茶をお願い」
「はい!お待ち下さいませ?ローズお嬢様?」
サクロスは思う。
一体俺がこのお嬢さんに、なにをした?
始めて顔を会わせたその直ぐ後から、こんなに冷たく扱われるなんて………。
それに、俺にお茶を出させたいのか?それもと嫌がらせなのか?
「そこの!獣人!さっさと出て行きなさいな?用はないわ」
メイドのマルレイが、サクロスに冷たく出ていけといい放つ。
「あ、あの………お言葉ですが?」
「なにか?」
「お嬢様に出ていけと、言われるならまだしも。メイドの貴女に言われても……」
「まっ、まぁ!なんて生意気な!ローズお嬢様!私は悪く無いですわよね?」
「ええ、大丈夫よ?サクロス出てお行きなさい!私が呼ぶまで来なくて良いわ」
「分かりました。では……失礼を」
頭を下げて今度こそサクロスは、部屋を出る。
廊下に出て一言漏らす。
「これは………無理だ!田舎に帰ろう。ラムセスごめんな…」
サクロスは、自室に戻っていく。
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