第37話 ドラゴンの鱗

「なら頼むよ、で?お前の用事は?」

「え!ああ、忘れてました。実は私の隊と兄上の隊で合同訓練して、貰えないでしょうか?」

「それは?」

「最近、弛んでるですよ。今回の騒ぎもあいつらが原因です。少しお灸を据えませんと」

「成る程ね。分かったよ全員寄越せ、みっちり鍛える様に伝えておく」


「お願いします、兄上。あと、これを」


 カチャリと白金貨が入った袋を出した。


「ん?これは。ルー?」

「先日、冒険者の方でドラゴンの鱗が手に入りましたので、そのお裾分けですね。使って下さい。入り用でしょ?」

「ルー!!ドラゴンって!お前また危ないことを」

「い、いえ。一人ではくてですね……ラムセスも居りましたし」


 あ~これ、ドラゴン従魔にしたなんて言えない雰囲気だな……ヤバい!これはもう黙秘だな!


「全くお前は!心配させるなよ」

「アハハ、すみません」

「で?鱗って?」

「ああ、これです」


 と、言って鱗を一枚出す。


「ずいぶん、大きい物なんだな?」

「ええ、でかいですよ?これ一枚で白金貨2枚です」

「つ!ルー!じ、じゃあこれいくら入ってる?」


 エルクが驚いて、テーブルに乗った小さな袋を指さす。


「え?ああ、これは少ないです。申し訳ありません。昨日は白金貨4枚分を売りましたから、今回は白金貨3枚でご勘弁を」

「はぁ~、ルー。少いと言ってるのでは無いのだが?全くお前は。だが……すまんなルー、本音を言うと助かるよ。まだまだ、金が掛かるのだよ」

「いえ。お気になさらず?父上にも後で渡しますが。まだ鱗をギルドに持ち込んで居ないので、また改めて渡します」

「分かったよ宜しく頼むよ。さて、ルーこれから夕食でも一緒にどうだ?まだたろ?」

「ええ、では御一緒させて下さい。それと歩きながらで、申し訳ありませんが……」


 エルクの部屋を一緒にでて、話しながら食堂に向かい席に着く。


「それで、兄上。ローズの執事ですが、アレクはどうでしょう?」

「ん?」


 あれ?知らない感じなのか?


「兄上御存じですよね?あいつなら完璧にこなせますよ?まぁ推薦するだけなので、ローズに任せますがね?」 


「知っては居るが……ん~まぁそうだね?母上にも相談かな?」

「そうですね。勝手に決めると……」

「アハハ、そうだぞ?」

「「後が怖い!」」


 アハハ……。笑い声が食堂に響いた。

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