閑話 ワイルドウルフ パーティーside 3-5

「う、ううう、痛ってえー何処だここ?」


 目を覚まして、周りを見ると見覚えがあった。

 ちくしょー!まじでメンバーが、誰も居なくなっちまった。

 座り込んだまま項垂れる。


 此れからどうするか……?もう一度、ルークに戻って貰うか?

 いや、それはあの方が反対するだろうしなぁ~。


 全く分からなくなった。

 オースはノロノロ立ち上がり、ダンジョンの入り口から外に出ると、元来た道をふらふらと歩く。

 しかし、なにも考えずに唯歩いていたので。道から外れてしまい、気がつけば獣道を歩いていた。そして、どこからか、がさがさと枯れ葉を踏みしめた様な音がする。


 今までふらふらと、頭も働かしていない混乱状態で、歩いて居たオースは。がさがさという大きな音が耳に入り我に返った。

 音のする方へ目を向けると、ブラックベアが仁王立ちで目の前に、いた。オースとブラックベアの間はそう離れて居ない。


(やべー、ブラックベアだ。どうするか?普段ならルークが……。いや、今は俺しか居ねぇ……逃げ切れるか?)


 武器はダンジョンに、多分投げ出して来たから武器になる物はなにも無い。だから逃げる。

 オースは、ブラックベアから目を離さずそっと後ろに下がる。

 ゆっくり、ゆっくりと、ブラックベアから距離を取る。するとブラックベアの、方が興味をなくしたのか?分からないがオースから離れて、森の中には消えていった。


「ふぅー助かったぜ、さて此処はどこだ?」


 ふらふら歩いちまったからな、場所が分からんが。まぁ適当に歩けば、本来の道にたどり着くだろう。

 頭をがしかしと掻いて歩き出し、しばらくすると歩き疲れたのか、座り込んで何かごそごそとしだす。

 ったく!歩いても歩いても道が分からねぇ、仕方ねぇ、今日はここで野宿だ!

 はぁ~夜は寒いぜ。腹へった。





◇◆◇◆◇◇◆◆


一方………。


一分始終を見ていた影二人が愚痴る。


「ったく、ベアに食われれば、良かったのにぃ~」

「だな、よく襲われ無かったよ?」


 一つの才能だと言って……。パチパチと、リンクが手を叩く。


「ありりゃ、あんな所で一人で野宿は……不味いねぇ~しっかし寒いなぁ」

「本当だ……でも俺らも、もう眠いよ?」

「だな?誰かに変わって貰うか?」

「うん…変わる。あれつまらん、もん!腹へったし、めむい(眠い)ざぶい(寒い)」


 こうなると我が儘が止まらないリンクに、手を焼く前に交代の連絡先をした。

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