閑話 ワイルドウルフ パーティーside 3-3

 階段を降り進んで行く。階段を下りきると、そこは森と草原が広がる階層だった。

 一階層とまるで違う光景を見て、パーティーメンバーは唖然とする。

 何せ全員が下の階層も、洞窟で迷路だと思っていたからだ。


「オース、緑が痛い!」

「馬鹿か?リマ」

「ひっどぉいーだって!ダンジョンに緑の森と草原だよぉー?」

「ま、まぁそうだが………これは、引き返さないとヤバいな………」


 何とオースが引き返す判断をした。


(今回の、あの方からの依頼は、失敗で報告するしかねぇ!こんな、ヤベーダンジョンおれらの、ランクじゃ無理だぜ。ちくしょー!)


「えー!マジぃー?あっ!でもぉーリマの魔法があれば、行けるんじゃね?」

「無理!(無理に決まってるじゃない。なに馬鹿言ってんのよ)」


 カルエがリマの意見を直ぐに却下する。


「カルエ、ひどぉーい!」フンと不貞腐る。

「そうすっよね!引き返すなら今すっ」

「リマ!ずべこべ抜かすな!引き返すぞ。早くしねーと階段消える!」


 そして、全員で階段を急いで駆け上がる。

 オースが階段を駆け足で登り切ると、後ろを振り返って全員揃っているか確認する。

 すると、魔法使いのリマだけがその場に居なかった。


「おい、リマどうした?」

「え?あたしの後ろを、着いてきてたわよ?」

「居ねぇじゃぇかよ!ったく、階段をもう一度下りて、確認すれば居るかも知れねぇ。お前ら少しここで待ってろ!」

「えっ!ちょっと待ってよ!オース」


 カルエが何かを言って居たが、構わずにオースは階段を下りていく。

 階段を下りたオースは、森のダンジョンに戻り。リマが直ぐに見つかると思って居たが、オースが今見ている景色は、砂漠砂が一面に広がり太陽が照りつけていた。


(どうなってやがる、このダンジョン可笑しいだろ)


 だがさっきの景色とは違う、これじゃリマは見つからないだろう。


「仕方ねぇ……。戻るか………」


 そして、慌ててまた元来た階段を上がって行く。

 すると、待たさせて居たメンバーがそこに、いたのでホッとして声を掛けた。


「おい!リマは見つからなかった。仕方ねぇ、このまま外に出て、エンケルの町に戻るぞ」


 普段ならここで何らかの返事が返って来て、愚痴を言われるのだが……全く返答が無い。


「おい!どうした?カルエ」


 カルエのそばに行き、肩に手を掛ける。

 するとそのまま、力も入れていないのにバタリとカルエが倒れた。


「か、カルエ?」


 声を掛けるが、反応が無い。


 そうだトレシュ………。

トレシュの側に行き。また、肩に手を掛け肩を揺らすが、やはりカルエと同様に動かなかった。


 試しに、トレシュの胸に耳を当てて胸の音がするか聞いてみると、なにも音がしなかった。


 トレシュの顔を触ると、まだ死んだばかりなのか温かいままだ。そして、トレシュもカルエも動かなかった。


「う、嘘だろ。どういう事だ、なぜ二人もと死んでる?」


 な、何で……こんな事ばかり起きるんだよ!と洞窟で叫んだ…………。



¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨



 一部始終を見ていた影が、ニヤリと笑った。


 あ・た・り・ま・え。


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