第19話 用は未だあるのよ?

 ニコニコ笑う母にを見ると、身体がヒヤリとする。若干冷気が漏れ出ている。こ、怖い。


 ルーお兄様に全てを任せる。

 ……それが一番良い、方法かもしれないですね。


 ルー兄達には、申し訳在りませんが。


「ああ、もう直ぐルークが屋敷に戻って来る。そこでまた、話さないといけないがな。面倒だよ全く」

「全くですわ、貴方。どうしてこう何かをしようとすると、問題が涌いて来るのか。全く面倒で成りません」

「それで、ローズに相談だ。ローズ!」


 突然、厳しい顔をした父の姿勢にローズは同じく姿勢を正して聞く。


「は、はい、お父様なんでございますか?」

「お前、領地の屋敷に戻ったら。学園の卒業パーティー当日迄は、領地に居てくれ。そして学園での催しが済んでも、戻るのはこの屋敷にだ。王都の屋敷には戻る事は出来ぬ良いな」

「は?」


 思考が追い付かず『はい』とは言えなかった。待って、待って、良く父の言ったことを理解しょうと必死に考える。


 卒業パーティーの参加は、させて頂けるのですね。それは良かったですが、問題はそこでは無いはずですね。


 では私が暫く大人しく、領地の屋敷に居れば良いのかしら?


「お父様」

「何だ、理解できたか?」

「はい、私が暫く領地に居れば問題無いのですね?」

「ローズそれだけではないわよ、暫く外出も禁止よ。屋敷がバタバタするでしょうしね」

「え、外出もですか?」

「当たり前ですよ?でなければ、ちゃんと卒業迄は学園に行かせてますよ」

「問題が在るから行かせられないと?」

「「当たり前だ」です」


 二人揃って当たり前と、言われたら『はい』と従うしか在りません。


「お父様、お母様の、仰られて居る事が分かりました。お言いつけ通りに致します、ですが学園にある私の私物は如何致しますの?」


 3年も学園に居たのだ、私物も増えている。大事な物もあり、手放したくはない。


「それは、これから決めるが。使いの物に頼むとしょう。一応は休学届けも学園に届ける。その時に一緒に、引き上げて来る流れに成るだろうよ」

「分かりましたわ。お話はそれだけでしょうか?」

「いえ、まだあるわ」

「そ、そうですか」


ローズは、出された紅茶で喉を潤した。


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