第12話 執事候補が獣人?

 部屋を出ていたフォルクスが、メイドに伝言を頼むと直ぐに元の部屋へ戻って来た。


「お、戻ったな?フォル。で、マルス」

「は、なんでございましょうか、ご当主様?」

「お前が先頭に立って、男爵家の令嬢とやらを足留めして追い返せ。招待状を持参しない者は不審者だ。そして、馬鹿王子の方はローズのフォローが出来る者を着けろ。何なら暗部を動かしても良い。どうせあの馬鹿の事だ、権力を嵩に屋敷に乗り込んで来る」

「は、承知致しました。ですが、ローズのフォローで一つ問題がございます」

「何だマルス」

「ローズ様着きの執事が、未だに決まって居りません。したがって、急場凌ぎの執事で良いと言う事でしょうか?フォローでしたら、影の中から出せますが……」


 ガウルとリエルがお互いの顔を見合せる。


「そう……だったな。メイドだけでは心配だしな。さてどうしたものか」

「執事となると、人材が居るのかしらフォルクス、誰か居るかしら?」

「そうですね、マルス誰か居ませんか」


 フォルクスは考える、何せ人材が暗部の者と屋敷付の影と、戦闘能力が低い使用人とが混ざり人員が多い。

 個性が強い者も多い。出来ればローズ様の執事は腕の立つ者を着けたい。


「そう言えば、フォルクス様」

「マルス、誰か思い付いたか?」

「ええ、2名程居ますね」 

「マルス、誰ぞ居るのか」

「ええ、ご当主様。腕は立つのですが……」

「何か問題のでも、あるのかしら?」

「ええ、実は半年前に影の一人クバからの推薦で。2名程採用しまして、今最終過程に差し掛かっております」

「ほう?実力は?」

「クバの見立ですので優秀ですね、唯二名共に獣人なのです」

「獣人か、何の系統だ?」 

「はい、一人は狼、もう一人は豹です」

「まぁ、我がマクゥエル家に獣人ですの?」


 リエルが僅かに不満を漏らす。


「奥様、申し訳ございません。ですが大変腕が立つ者達で、礼儀もしっかりして居りますゆえ」


 マルスは、奥方を怒らせたと勘違いをして焦り詫びる。


「それでしたら、二人の内のどちらかを、ローズ様に決めて頂くのは如何でしょうか?」


 フォルクスがマルクを援護しながら主に提案をした。


 そこへ、扉をノックする音がして、廊下側からエルクの声がする。

 どうやらエルクが来たらしい。


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