第6話 厄介事

 ドレスの試着が終わると母と、ドレスルームから出てサロンへ行く。


「お母様、素敵なドレスをありがとうございます」

「かわいい娘のお祝いだもの。仕立て屋と相談して作らせたのよ。ローズの大切な成人をお祝いする、パーティーですものね」

「嬉しいわ、お母様ありがとう」


 母とドレスの話をして居いると、チェスターが執事のマルスを連れてサロンに入って来た。


「これは、母上様。ローズとお茶の時間ですか?」

「ええ、チェスター貴方もお座りなさいな」

「ありがとうございます。母上、マルス私にも御茶を」

「畏まりました、少々お待ち下さい」


 マルスが頭を下げて退出する。


「お二人お揃いで、何を話して居たのですか?」

「フフフ、内緒よね?ローズ」


 ローズに軽くウインクをする。

 お母様可愛すぎます。止めて下さいませ私でもキュンてしますわ。


「ええ、内緒ですわチェスお兄様。お兄様こそ、どうされましたの?マルスなど連れて、此方へいらっしゃるなんて」


 チェスター付きの、執事マルスが珍しく顔を出したのには僅かながらビックリする。


「ああ?そんなには珍しくは無いが、少し打ち合わせにな。これから、事があるからな」

「何か問題でも。ありましたか、チェスター?」

「母上様には、話をして置かないとですかね?」 


 チェスターがチラリとローズを見る。


「あら?チェスお兄様。私にも、お話して下さいませ」


 何か話せない内容なのかしら?私だってもう子供では無いのだから、子供扱いしないで下さいませ。


「ローズが、知らなくても良い事だよ。母上、昼食が済み次第父上の執務室で、お話致しましょう。父上も王宮からお戻りの筈です」


「失礼致します。御茶をお持ち致しました、チェスター様」


 マルスがワゴンを押して、サロンに入って来るとチェスターの前にティーカップを出し、マルスが下がる。


「ん、ありがとう。あぁ、マルス昼食が済んだら父上の執務室で、母上様と話がある。お前も同行しろ」

「は!畏まりました。それでしたら旦那様に、先触れをお出しして参りますので。失礼します」

「チェス、分かったわ。ですが、急すぎでは?」 

「母上様、少々厄介事です」


 チェスターが厄介だと呟き、カップを手にし一口お茶を飲む。



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