第3話 静かに
母の逆鱗に触れないように、大人しく家族で夕食を取ることにしたローズだが。やはりルークに会いたい一心で、ルークは何故いないのかを父に聞く事にする。
「お父様、お伺いしても宜しくて?」
お父が、出された皿の肉を食べながら答える。
「何だ?ローズ。この肉!旨いぞ。ハハハ」
「そんな事では御座いませんわ!何故ですの?何故!ルー兄様がここに!いらっしゃらないのですか?私、会えるのを楽しみにしてましたのにぃ~!」
ヒステリックに、ローズが父親に詰め寄るとエルクがローズに、言い聞かせる様に煩いと静に言うが………それを打ち消す男が居るがローズに軽く流される。
「ローズ。また、聞き訳のない事を言うなよ?煩いよ」
「そうだぞ、ローズ。ルーク等居なくても、ここに私が居るではないか」
ハハハッと、とんちんかんな事を言って退けるチェスター。
ローズは無言でチェスターを睨み付け、フンと鼻を鳴らしてそっぽを向く。ひどい塩対応だ。
そしてまた父親に詰め寄る。
「お父様なぜ?ですの!」
言い出したら聞かない、我が儘娘。
エルクは、知っている。
ルークは昔から、ローズを苦手だと顔を合わせると愚痴っていたので、それを見越してエルクが手を回し、今回のローズの屋敷への帰宅も避けさせた結果のこの騒ぎであるのだが……。
「ルークの事となると、必死だなローズ?お前面倒臭いな。ルーは今、領地の屋敷でお前のパーティーが終わった後の、新年の準備で忙しくしてるんだ。お前と遊んでいる暇はないと思うぞ?母上様が指示を出してるからな。文句なら母上に言ったらどうだ?(言えたらな?)」
エルクの話を聞いたローズが、母と聞いた途端にヒッ!と、小さく声を上げる。
そして、母を見ると母は般若のように笑っていた。ヒイイ!
「エ、エル兄様。教えて頂き、ありがとうございます」
「…………静かに食べろよ」
其からの、夕食の席は静かだ皿がカチャカチャと音がするだけで、雑音が一切入らず静な食卓だった。俗に言う針の筵のようだった。
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