第2話 ルーお兄様の不在

 夕食の時間、食堂に家族が約一名を覗き全員揃ろう。


「「お帰りローズ」」


 食堂のテーブルに着く、と兄達から声が掛かる。


「ただいま。お兄様達、あら?」

「どうしたローズ」

「お父様、ルー兄様が居りませんわ」

「あ、あぁ。ルークか……あやつはまだ領主邸に居るよ」

「……なんですって。では私も領主邸に向かいます」

「まぁ、待てローズ」


 両親、兄達がまた始まったと眉間に指をあてて困った顔をする。


「なんでですの、なんで私のルー兄様が!いらっしゃらないんですか?ちゃんと、お父様にお願いしたのに」


 ローズはブラコンで、特にルークにご執心だ。

 子供の頃から、ルークの後を付いて離れず甘やかされて育った。


「おいローズ、兄はルークだけでは無いだろう私達も居るのだがな」


 父にルークが居ないと、訴えているとチェスターから窘められる。


「煩いですわ、チェスター兄様。お兄様達お二人には、王都の屋敷に住んで居りますもの。直ぐに会えますわよ?でも………ルー兄様は違いますわ、今回だって私の誕生日パーティーで、エスコートをお願いしてますのに………ルー兄様」


 は!まさか!お怪我をなさって、来られないのかしら大変だわやはり!私、ルー兄様を迎えに行きますわ。


 テーブルに着いたものの、考えが飛躍と妄想が先走るローズは、食堂を出て行こうと再び転移の間に行こうとするが、母から止められる。


「お待ちなさいな、ローズ何処に行くのかしら」


 母の顳顬に青筋が浮き、身体から怒りのオーラを惑い周囲に漏れだす。般若のようだと、周りに居るものは思う。

それくらい…………非常にお怒りの様だ。


「お、お母様、私、ル、ルー兄様が……」


 居りませんわ!と、言わせて貰えなかった。


 母に諌められシュンとして自分の椅子に座り直す。


「お母様ごめんなさい」


「まぁ、ローズ聞き分けの良い子は好きよ?わたくしも、ルークに会いたいですもの?ねぇ」ニコリ


 母の微笑みが怖すぎて、母以外がゾクリとする。


(あぁ~早く飯食いてぇ~)


 エルクは心で思う。

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