第19話 懐かしい思い出。

 ご令嬢の容姿で怒る母上だが、俺もあまり良い気分ではない。


「髪色がピンクで、瞳が青ですか?人形とかではなく?」

「ええ、れっきとした人族でしたわ。魔族や獣人族の血が、混ざって居るかも知れませんが。そこまでは……無理でしょ。ですから、人族ですわね。

影に調べさせましたが……。どうやら、男爵家の養子のようですね。孤児だったようですよ」


《なんか昔に…。まだ、日本で暮らしてた頃。弟が嵌まってた乙女ゲーのようだな?あいつは変わってる奴で、ゲームオタクだった。片っ端からジャンル構わずやってたな?その中で一時嵌まってたのが、乙女ゲーだった気がする。懐かしいねぇ~。確か…パッケージにプリントされていたのが、ピンク頭の女の子だったような?その絵の女の子が主人だった気が……。内容は、詳しくは知らない》


おっと思考が飛んでたな。


「母上断って頂き、有り難う御座います。流石にピンク頭のご令嬢を、エスコートするのは無理があります。ですが、他にも有ったのですか?」

「そうですよ。侯爵家と辺境伯家あと伯爵家も、だったかしら」


よく覚えて無いわとコロコロと笑う母だ。


「そ、そうでしたか。ですが、母上からお断りして頂けたのなら安心ですね」

「ホホホ、私に任せなさいな」パチリとウインクをする母上。


何というか、40才でこの可愛い仕草をするから父上も、気が気では無いだろうな。

未だに、夫婦中睦まじいのは羨ましい限りだ。

(でも……俺は御免だがね。これは内緒の話しだ)


「あと、兄様達の縁談も、バッサリですか?」


笑いながら俺が聞くと。


「当たり前ですよ。こちらも、おふざけが過ぎます」


「ハッハッ、流石母上ですね」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る