第16話 気遣い

 部屋を慌てて出ていった、チェスターと入れ替わりに、セバスとメイドがワゴンを押して、部屋に入って来る。どうやら、お茶を出すタイミングを計って居た様だ。セバスはチェスターに、茶を出す気がなかったのだろう。

 しかし、この執事達の気の使い方……凄くないか?

 まぁ、お茶を出すタイミングはバッチリだけどね。


「母上、それで。私が戻ったのでこちらへ?」

「そうですよ?予定より早い戻りで驚きましたよ?何時もの戻りでは、無かった見たいですから。影からの連絡があった時は、こちらも焦りました」

「ははっ!私も驚いたんですよ。しかも、手痛くされました」

「まぁ、何処か怪我でもしたのですか?」

「ええそれはもう。此方が手を出せないのを良い事に、好き勝手やりたい放題ですね。しかも予定より早く追い出されたので、驚きです。俺じゃない!そうですよ?」(笑)


 影からの報告は無かったですか?と聞いたら。


「そこまで詳しくは。はぁ~ルーク大変でしたね、傷は何とも無いですか?」

「ええ、大丈夫です。ですがチェスターに、トドメを喰らいましたが」

「まぁ………チェスが、またなの?痛かったでしょ?」

「ええ……朝から湯殿で大騒ぎ。挙げ句に私が気絶させられて、セバスが激怒し。マルクス爺に、急遽ここまで来て頂いて。私の治療するというね」

「まぁ、なんて事でしょう。自分の弟でしょうに。ルーク、ごめんなさいね。私の育て方が悪かったのかしら、野蛮な兄様ですね大丈夫ですよ。後できっちりお仕置きです(ええ!きっちりね!)」


 リエルはハンカチを出して、涙ぐむ。


「母上。芝居は良いですよ」


 しかし成人過ぎの大の息子を、どうやってお仕置きするのか………見たくはないが、少しだけ興味があるのは……何故だろう!

 あ~みて笑いたいからか。(笑)


「あら、わかってしまいましたか?」


 そう言ってクスリと笑う母。


「それで…私の情報が入ってこちらに?」

「それもありますが。今回こちらに戻ったのは、例の算段が着いたらしいと、言うことよ。詳しい事はガウルに聞いて下さいね」

「……………分かりましたよ。母上」



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