第15話 急いでこなくても

 兄と二人で話をしていると、突然『バァン!!』と大きな音がする、と同時に部屋の扉が開く。

 ………デジャブ感が半端ない。


「まぁ、ルーク"私が怖い"ですって。一体何故?教えて頂戴なルーク?」ニコリ。


 音でビックリし聞こえた声の主が、秒で分かって縮み上がる。

 ルークとチェスターの首の音が、『ギギギギ』と鳴る様にゆっくり振り向く。


「「は、母上様」」


 兄弟揃って立ち上がり、母リエルを迎えて手を取り挨拶をする。


「母上、ご到着が早かったですね」

「あら?チェスター。私の到着が早いと、何か問題でも?」

「い、いえなにも、問題など……。そうだ……父上とエルクは、どうしましたか?」

「ガウルもエルクも、一緒に来ましたよ。早くお迎えに行きなさい、転移の間ですよ。ルークはここで、私とお話です。チェス貴方は。ガウルから、お話しがあるそうです」


「は、はい。では、母上失礼致します」


 チェスターが焦って部屋から飛び出し、転移の間に走って行く。


「母上、お久しぶりです。お変わり御座いませんか?」


 母の手を取り挨拶をし、ソファーに座る様にエスコートする。


「ええ、ルーク久しぶりですね。何も変わりは無いわ」

「それは、幸いですね。しかし、本日は突然どうされたのですか?しかも、父上とエル兄様と共にとは。まさかローズ迄一緒と言うこ事は、ないですよね?」

「まぁ、ルーク!突然なんて。私達が貴方を心配をして急ぎ、領地へ戻って来たのですよ。ローズは連れて来れないでしょ?あの娘は学園ですよ!」


 ほっ!ローズはまた別で厄介だからな。来なくて正解。

 ま、学園でお姫様しているのだろうから、放っておくのが得策だ。あいつも厄介で、面倒なのだから。


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