第13話 チェスター

 マルクス医師が、ルークの部屋から退室して行き、セバスとチェスターが部屋に残った。


「さて、セバス……。すまないが、何か飲み物を持ってきてくれないか」

「畏まりました。用意して参りますので、少々お待ち下さい」


失礼致しますと部屋を出ていく。


退室していくセバスを見送ると、ルークはどかりとソファーに座る兄に目を向け考える。

なんだろうか、自棄に静かで怖いのだが…。

あ……っ!またなにか、しょうかと考えてる?

ハァ~いい加減この人は……。


「チェス兄さま?」


ベッドから下りてガウンを機織り、チェスターの対面に座り話し掛ける。非常に面倒だ。


「な、何だルーク。もう動いて大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。マルクス爺が、治療してくれましたからね。動けます。それよりご用が何だったのか?まだ、伺って居なかったと思いまして」

「おっ、言って無かったか?私はね、どうしてルークが領地に戻って来たのか。それを聞きたかっただけだよ」

「そんなことを、本当に信じるとでも?」


チェスターをジロリと睨み見て、俺は死にそうになったんだがね?

本当に、なにをしに来たのか?

影からは、なんとなく情報は来てるのだが、なんとも曖昧で確信がない。


「ルーク、何処から情報を?」

「まぁ、私には頼りになる者が居ますからね。ですが予定が……少々狂いましたけどね」ニコリと笑う。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る